血糖は高いのだけど九十二歳きゅうじゅうに食事は好きにしなさいと医師
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ひととして生まれたからには つらかろう わたしも少しだけわかるから
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あなたの真っ赤なカバンにぶら下がるキーホルダーのサメになりたい
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改札は同情して ピッ と鳴る124円だけ入ったスイカ
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もうそんな 季節が来たか 鉢に咲く クレマチスあり 隣家の庭に
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カーテンを閉めずに床に就く 眺めは良いが 寝付きが悪い、気がする
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生き急ぐ街に染められたくなくて信号待ちを僕は選んだ
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ごめん。まだ答えは出ない。でもいいよね。いつか忘れてしまうのだから、
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夜はみな孤独になれる時間だろ。テレビを見るなんてもったいない
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「私には力がない」と言い訳し、そんな吹き溜まりにいつまで留まる?
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鮟鱇の甘い誘いに捕まって喰われてもいいどうせ死ぬなら
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ここまでで誰が終わりと決めたんだ 俺はまだまだ続ける「ンジャメナ」
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エプロンの紐をうしろで蝶にして女上司が主婦へと変わる
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人知れず終わりを迎えたこの恋を思い出になるまで沈めてよ
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「君はまだ興味本位の恋だけで、愛を知らぬ」と言うがおまえは?
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海のない町に生まれたことだけを悔やんではただ空を見ている
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「ご家庭で不要になった」とアナウンス一瞬自分のことかと思う
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瑠璃色の坩堝をぬすむ累犯で類人猿を流謫るたくに処する
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灯明は真っ直ぐに立ち背後では火影ばかりが揺らめいている
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まあいいじゃん急ぐ意味のないこともある 売り切れパンは売り切れたあと
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草だんご 矢切の渡し 寅さんの 地元を歩く 夏陽と共に
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おさるさん キーボードうたせ いつのひか シェークスピアかく 大規模言語AIの原理
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五号車 毎朝同じ 彼ら達 いつの間にやら 家族の如し
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サモエド真っ白いよな喜びと珈琲の豆噛み締めた甘い
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行ってきますカバンに春を詰め込んで ひとり乗り込む夢色列車
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元彼女もとかのです」それでもじゅうぶん良かったよ それさえなれないわたしは「妹」
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好きなんだ 好きです ずっと君が好き ごめんね、好きで 隣にいたい
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分からぬを気味悪がりて遠巻きに見るその気持ち分からぬでもない
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来ないかな。 来るはずのないLINE待ち 必要ないと 実感して泣く
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女房に処方されたるステロイドかつてに塗れば湿疹が出る
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