還暦のみんなだいすきな先生がいつも言うこと「六割でいいからな」
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先生がぽろぽろ泣いた  ああそうか、良いんだ。私生きてていいんだ
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親が死に僕が死にゆき 子が続く 順番通りだ泣くのは終わり
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明日の朝 いつもと同じに世は動き テレビは笑顔を映すのだろうか
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わかれうた 占い師から バツ四です と予言された 最後もバツかよ
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モクモクと絡み合いつつ湧きあがる白い雲から生まれたとです
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もう居ない あなたを感じる マイダーリン 目をつぶるとすぐ あなたに逢える
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あまりにも あまりに簡易な納骨儀 最も恐れたひとが散りゆく
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恋愛には 順序があると いうけれど それは建前 いっぺん死んでみる?
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暗い部屋ミックスナッツの缶を蹴る ナッツは馴染めど私は異物
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頬に触れ 雪かきの後の母の頬と 同じ冷たさ まぶたが痛い
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いいんだよ、そこに落ちてる亡骸は見過ごすことになっている死
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唐揚げとラーメン焼き肉寿司甘味 私を動かすガソリン一覧
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子どもをかかえたすいっちょんが死んでる
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瞳孔が開くらしいよ好きな人見つめる時の体の仕組み
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好きな人ならば余計にその顔を思い出せぬは恋した証/題『ポエマー』
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ちゅらさんか失敗しない医者なのか多分ちゅらさんじゃないのかな/刺草キロ様
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三週間休んでいたので心配す 職場のマドンナ薬指にリング(聞いてねぇぞ俺は)
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3涼子 篠原広末・・誰だっけ 思い出せない歳のせいかな
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さあ起きて致死量の愛を召し上がれ一度眠ればそれでおしまい
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「5秒前」女房に歌わせてみたけれど 調子外れで思い出せない
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ナイターの 始まる頃に 夕飯の 支度準備 秋の夕暮れ
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初体験 スマホでネットバンキング ポチッと送金できちゃう怖さ
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松茸は妻の厳しき管理下に 一口ごとにカウントされて
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趣の一字にぜんぶ託せたら三十一文字も苦しんでない
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清水の舞台からをも飛び降りて 見切り品棚 松茸買ひて
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君がわれの得意料理と認めた餃子をひとり食べる夜なり
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叶うなら 拳で語り合いたいな 生まれ変われる そんな気がして / 瓜田君
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空っぽの米の売り場の貼り紙は人通る度ヒラヒラとせり
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生はもう眼も当てられぬ様でした隠棲ぐらい 絵になりたいわ
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