夏の陽に冷たい風を受けながら熱きうどんをすすって眠る
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5分待つカップうどんの絶対を超えてやさしきやわらかうどん
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暗がりのキッチン起こし湯を沸かす時間はどこか朝の瞑想
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青さとは離れだしたるぬるま気の風が漂う夏の早朝
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眠れない私の気持ちを知らずして尚捲し立つ朝の蝉たち
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七夕が娘の誕生日、孫もさずかりダブルおめでとう
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この時期の川縁かわべり散歩は魔の道よ へびよなぜ今 目の前横切る
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七夕に天の川ながめ愚考せり。老ゆる夫婦の程良き距離を
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始発座れ、車内で涼み轟轟ガタンとしずかにうたた寝
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隊列を弾が撃ち抜く戦場の赤き土在り変われ世界よ!
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放哉に憧れ歌を詠みたくてされど墓石の裏の迷子よ
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いか天でデビューしていたバンドあり栄枯盛衰息は短し
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若き夜マイナスをマイナスで×かけたくてグラス呷つた角瓶
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「ぶぶ漬けどないどすか」長居しましたすみませんならばいただきます
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常夜灯 ぼくにとっては 暗いけど 隣の君が それを補う
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この情緒 落とし所を 見失い 闇に砕けて 散り散りバラバラ
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残業して帰る道キミが浮かぶキミもそうだといいなと思う/78日目
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日本には「あれは身体に悪いから食べすに居よう」文化が根付く
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願い届いたよ君の隣 ひと夏の一枚
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友達が近くにいないと自己嫌悪やばい死ぬ死ぬしんどい助けて
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笹の葉にかけたわたしの願い事 叶ってないと気付いてしまった
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君がもし 谷間に落ちて 辛いとき 同じ目線で 共に生きよう
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颯爽と 駆け抜けてくと 思いきや 皇居ランナー 走りダルダル
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炎天下キンキン冷えた缶コーヒー君のうなじに押し当て歩く
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書き写すコラムの文字は五六三いとも静かな時間が過ぎる
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記念日がある事だけは胸張って生きて行ってね大好きな君
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しましまの光を胸に受けじっとしている。瞼は震えている
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パラシュート開き方は知らないが開かなくても鳥になりたい
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おすすめはかなしみでできた塊を抉り取らずに溶かすことだよ
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おそらくは夏の空の明るさに秘密があって何もいらない
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