泥がつき打ち捨てられしルイヴィトン 我の一年彼の一日
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それからはいつでもどこでも仮想敵 想像し得ぬは幸福と知れ
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時間ない 明日の今頃この世にいない 進まぬ小説 深夜二時
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ささくれや昨日の悪口か今日の嫉妬か人差し指つくづくと
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砕けた骨が混じりてふと思うわれが祖父と呼んだものはどこだ/四十九日、納骨の儀にて先祖代々のお骨をまとめた際に
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短歌は俳句より二十字余白があり それを未練と呼びます
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修理には経験なども必要だ今日のしくじり明日あすに身に付く
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塗装屋の養生シートはアコーディオンそれってどこで売っていますか?
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コーキング先の切り方載せ方をお茶を出しつつバキバキ見てた
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エポキシ系それはいわゆる癒やし系?接着剤のとあるプロダクション
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修理する動画見ながらやっているやった事ない事は実らず
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誰それに押し付けられた価値観に飛び蹴りかませ 我が道を征け
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この夜に 嗚咽おえつしそうに なりながら 飲める寝酒は 共犯者である
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半潰はんつぶれの ゲームコントローラーの ように ただ、 生きることに 疲弊ひへいしている
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思い出は 時間が経てば 消えるのか… 僕の中から 行かないで、君
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冬と春 いったりきたり 繰り返す もう冬いいよ さあ春よ来い
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死ぬ前に三十一文字になけなしの変人性を消費してゆく
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両翼を 鳥の如くに 広げつつ 春の青空 旅客機は飛ぶ
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嬉しきは 早春の朝 空高く イソヒヨドリの 鳴くを聞く時
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日々起こる 些事に潜みし 理コトワリは 所業覚えぬ 他生の縁エニシ
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息子の荷物 航空便で 届けられ 帰省する日を 指折り数え
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どうしたら貴方の愛するものたちを 同じまなこで見れたのかしら
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君のその 少し上向きの睫毛を 撫でるくらいに 優しく触れたい
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隔週の いつもと同じ 処方箋 私以外は 変わってゆくのに
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吾子乗せる遊具の重たそうなこと 大きくなった!と声聞こえそう
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おもひではさみだれぐもに端切れぬちかき人をば恋ふゆえなり
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二とせの臥薪嘗胆しかる後君の姿はうせにけり
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かきくらす心のまどひさらねどもいま立つ峰ぞ雲の分かるる
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あひたしと思うもあへぬ忘れんと深山幽谷我が目指す道
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見送りの母を抱きしむその細き胴にまわしたわが手余りぬ
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