賃上げの激しい会社で働いて高断熱の妻を娶れば?
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アイライン口紅にじみ朝帰り 上着に髪に君の香残る
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相棒ちゃん最終回で まだ未開封さらの かっぱえびせん あけるの躊躇う
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暖房も少し節約したいから低温カイロ腰に貼ってる
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あきらめのうちに屈して行き帰る私を見てた燃える陽だけが
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雪解水ながるる音の心地よさ春の訪れ確信できて
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父は夢を追いかけたそうです。他人の家のwifiで読む
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余時間を刻一刻と失いしわれ無様でも刹那抱きしめ
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桜木の枝に結われたノート片 眠る言葉に思い巡らす
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予報無視傘を持たずに散歩出て途中でバスに乗る間抜けもの
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雨はキライ わたしを透明にするから こんなに素直じゃ弱いのがバレちゃう
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雨が降る 傘もささずに俯けば 悲しい人に見えるのかしら
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公園のベンチで鳩に囲まれて細胞の隅キュッと縮まる
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スキー板雪を切り裂き飛んでいく舞った氷は音を追い越し
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我こそはああならぬと父を指し 勉学励めど木造賃貸
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半島を抜け出すのだと誓ったが 東京来てもひもじいままだ
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今日こそは残業しようとお菓子買う。 食べ終える頃には眠いのよ。
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荷造りを終え 家具もない居間の壁 シミの跡に生活感かす
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雨と雪、やさしい日差し、第六感 空から降るのはそれだけでいい
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退職のお祝いに鉢植えのシネラリア 渡されて今も窓際に咲く
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いつもより薄手のコートで街に出る 春が私に手招きをする
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問いを見ず コントラストの強い「はい」押して後悔 「削除しますか?」
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四千キロメートル北へ行く旅の途中の白鳥かれらそっと見守る
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赤と黒、白で満ちてる月の裏 鴉の卵を煮る鍋を探す
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雪解けてついに露わなる田んぼ水面凝視すノスリ目敏し
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孤立する その度あの日を 思い出す 私が独りじゃ なくなった日を
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お弁当 微熱を払い 詰め込んで 玉子を巻けば 目も回る朝
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朝日出て 二人迎える 年始の日 今年も共に 仲睦まじく
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三月のダウンコートの内側にこもる発芽をするための熱
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くもり空 ねむそな眠そうなねこは ぼんやりと ねたりおきたり たべたりねたり
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