境目を 曖昧にして 過ごす日々 たまにはキミも どちらか決めて
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その嘘に 気づいてしまう なぜかしら 知らないままで いたかったのに
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急ぐ朝トイレペーパーの端っこも隠れた猫も出て来ぬ法則
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カッチリと難儀な固さや仏前に線香手向けんお彼岸近し
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お手製のケーキではじめる朝もよき 2日目ちょっとパサつく手作り
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起きてふと見ると 引っかき傷がある そういやねこがはしゃいでいたっけ
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あたらしい風がクレームブリュレのような季節をつれて疾走している
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幸せは孫をお菓子と小遣いで仕込んで嫁に歯向かわすとき
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お返しは 何がいいかと 聞くあなた 「低糖質の」 と返すわたし
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啓蟄の一週間過ぐ今朝の事初登場のワラジのそのそ
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雨上がり 澄んだ空気と 貝寄せか 桜のほころび 嗚呼待ち遠しい
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そのかみはいかに照りけむ梅が香に霞む浪速の春の月影
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頭では完璧と思う台詞でき 口出た瞬間チガウそうじゃない
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大楠の幹は雄々しく根を張りて 太古の歴史静かに語りぬ
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経る歳の 時季越え思う 妻と吾 来世の縁エニシ 如何になるらむ
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言葉とは抜け殻らしい 口にすれば響きは残る あの人のこと
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背に負ひて山路を下る里人の柴木に挿せる梅の一枝
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霞むにも名残ぞ惜しきたち出づる都の空の有明の月
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東風こち吹けば御牧の駒ぞいばゆなる美豆みづの入江の水温むころ
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世の中のすべてに勝ってみせたくて、一人セブンのカツ丼を食う
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まっさらの布に型紙並べ終え息を整えハサミを入れる
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細き身で微笑み返す桜草 篠つく雨に泣きても立てり
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わらべらはランドセルしょい水たまり 雄叫び上げる雨のおまつり
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怖ろしい 現実を見て 逃げ出した 己の過去が いまだ尾を引く
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いつの日か 夢から醒めて 現実を 目の前にして 立ち尽くすのみ
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現実と 格闘すれば 現実は 飼いならされた 愛犬となる
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どの人も 夢ばかり見て 現実を 綺麗に飾る 極楽とんぼ
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現実を 遠ざけるほど 現実は 牙を剥きだし 背後を襲う
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空想と ネットの中に 住む人に 世界は未だ 暗黒の霧
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永遠の 思いを知らず 働けば 食って寝るしか 思い及ばず
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