君をのみ 見続けており 向日葵は 虫の音(ね)の秋も  深雪(みゆき )の冬も
25
寂しさに 泣く夜は 夜空の黒き猫に 寄り添い馨(かお)らむ 人に見えねど
24
君乗せて夕映え迫る雲の間に消えゆくをみる無事を祈りて
15
十九社の留守をあづかる祈り虫 神なき秋の風を聴きおり
6
生者死者ともに踊りしマチスの絵 魂の輪の中吾も混ざりて
7
鍵穴を探す揚羽や百舌鳥古墳 閉ざされしまま時は流れて
8
ホカホカと湯気が出るもの恋しくて おでんシチューに焼き芋迷う
17
語らひもいつしか途絶へただ見つむ 牡丹焚火の青き炎よ
7
青空に 走る羽虫や 夏の末 息を吸うには まだまだ暑い
9
コンプレックス 覆い隠して 夏の長袖 私も本当は 悪口が好き
10
大鷹の孤高の翼百里基地 ステルス宿す影の静けさ
7
なおりかけ プスプスきずの おやくそく ねこにはつみは なけれど痒し
22
危機逃る キキが放つ ホームラン  山本頑張り ドジャース王手
4
見えないじゃないか隠すなミニスカで階段登るときにバッグで
8
まっくらな寝室ひとり 秒針が寝息を連れて夜を歩まん
9
塩レモン飴が余ってこの秋はしょっぱいものを控えつつゆく
13
氷お茶やめ時思う十月に夏の寒天無事使い切り
14
礼儀とは一人暮らしの我が家にてトイレの鍵をカチリと閉める
11
洗顔をしつつ思へり戦争が辞書より消へてげに無くなれと
9
出費する場所と節約する場所と 意見合わぬも夫婦の証し
24
空の腰髷も結えない身なれども寄り添う心侍(さぶらう)と詠む
11
10月の朝顔凪いでエプロンと歌集で挑むたのしいくらし
5
ポテトフライ 私は充分 大人だし 一度に4枚 食べたりできるし
10
すれ違いざまにかすかに触れた指 ポケットの中熱を感じる
4
道端で役目を終えて眠る虫時風枝葉色はうつろう
14
琥珀には古第三紀(パレオジン) ビタミンの粒には明日が 透けている朝
7
碧く澄み 朝の陽優し 秋の風 梢を揺らし 木の葉舞い散る
7
碧かすみ 朝の陽優し  秋の風  木の葉舞い散る  寂しさの沁む
4
風に乗り鼻をくすぐる金木犀足取り軽き朝の坂道
13
〈ひなたぐち(陽口)〉 やまとことばと見惚れたり あにはからんや 新語とぞなもし
14