剥離した記憶の花のひとひらに たからものなど混じっていたらし
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気晴らしにサンダル履きで出た父は 冬になっても戻って来ない
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春雨の激しく降りし庭一面チㇼアヤメ咲く空色の花
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今朝目覚めくりや にたてば鼻を突く味噌󠄀汁にほふお袋のせな
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何故売れぬかえりみるより何故買わぬるものだけ買う暮らし変わらず
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打ち解けた 時にはもう 別れが近くて 思い出の ミステリガール
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壁掛けの絵が外されて蝋燭に照らされし君しおらしくいて
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何かしら思う気持ちを探すけど 胸いっぱいでカタチにならぬ/今日は推しの誕生日
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ネットにて鉢植えの花贈られて御礼はLINで開花を写メに
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彼氏兼、母親も兼ねて父親もカウンセラーも兼ねている人
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倒れてる 自転車元に 戻さない 放置自転車の カゴはゴミ箱
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海の町送り出すとき歌う歌指揮振る君のそばにいるよと
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衝動がまた挑戦に駆り立てる アドレナリンの満ちていく今日
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「障害」という重すぎる響きすら 愛しいものと思うこの頃
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勉強をすればするほどわからない 無知の知という深みの沼へ
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二年ぶり産休明けの看護師と手を握りあういのち見つめて / 癌センター
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降りしきる雨は 朝まで止まぬまま 部屋でゆるりと 映画鑑賞
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きみと暮らす 窮屈になった靴箱に考えあぐねて寝かせたヒール
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誘ったら断る若者多いなあ麻雀よりもゲームがしたいと
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まだ知らぬこと多過ぎて町行けど僕の心は君へ行けない
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「いぢらしい」言葉表にすればわが意地になるほどに恋するほどに
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最高のプレゼンをして最高は君だってこと差す夕茜
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登校の子供ら二列で静か往く今日は休みか元気なあの子
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三本のトマトの苗を植ゑてのちウィキペディアで知る「連作障害」
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通勤者とすれ違いつつ私だけ世界の朝を切り分けていく
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連休で 実家に集まる孫達の 賑やかな声健やかであれ 
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レジ(アイス+ロック+スチル)×3 麻雀で言えば役満
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凝りもせずまた戦争が始まってそれはそういう人の遺伝子しゅくごう
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湖畔より君が水面を見掛ければ瞳に映る鳥や飛び立つ
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ぼくたちが取るに足らないこと話すときだけ集まってくる蝶たち
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