恋焦がれ 孤独が愛せぬ 私には 文学なるもの 愛してみたく
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ただ一人 漂う事が 使命なら 同伴者とは 夢のまた夢
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いつまでも 共有できた 思い出と 地球の裏の 星屑埋める
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漕ぎ出せば 帰る港も 持たずして 溺れるだけの シシリアンキス
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去り際の 名残惜しさに そういえば 髪が伸びたね 底なしの沼
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星みたいと思ったけれど実際は大したことないそういうとこ好き
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ここが好き 頁をめくって 綻んで 言葉を愛する あなたを愛す
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嵐去り なんでもないと 思えたら 涙一粒 初めての失恋
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文月もまだ上旬でこの暑さ来る葉月を考ふまじかな
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鶴ヶ城 抱いて登った吾子は今 白虎が散りし齢となりて
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欠けてゆくだけとおもへばはかなくも見ゆる今宵のみちみちた月
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陽キャにはなれなくたって光にはなれるわけです星や炎に
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返されし君へと宛てた手紙には取り繕いの気持ち綴られ
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流水の音の聞こえる小川にて二三歩進んで木の葉見つける
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ゴリアテという名を聞きし教会のステンドグラス十字架と影
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銀紙をめくってかじるチョコレート甘い恋など忘れてしまえ
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染み付いた想い出はもう闇の中ただ蝉の声まばらに響き
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暑い夜 部下と味わう 生ビール 泡のうまさと 会話がつまみに
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つかれはて登る階段ふくらはぎ重々しくて遠き寝室
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土砂降りの雨後に僅かな涼ありて 蝉の初鳴きようように聞く
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もしいつかアメーバになる日が来たらマーマレードの瓶で飼ってね
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おやすみなさい、君と微睡む 「起きてるの?」「寝てるよ 」「起きて 海行こう」
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行き先のある人達の交差点 白ふむ足に鍵盤が鳴る
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歌声が 耳に残りし この歌は 『幸せな夢』 優しさに満ち/窓花さんの歌
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まるで冬の静けさの中汗ばむ手 夏の虫は未だ鳴かない
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歓びをはっきり知ってもいないのに 我慢ばかりを覚えてしまうな
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ね、一緒に行ってもいい?とは言えなくて ついて行ってもいい?と尋ねる
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宝くじ毎回買って温泉で豪遊する夢見てはニヤニヤ
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突然の別れ相棒コンロとの二十年ふたとせ労い撫で拭きあげる
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見たくないものを笑ってごまかした月だけがバカみてえに黄色
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