なぜ笑う おれもお前も 好きな服 着ているだけだ 口閉じろ
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豆を買い 量を測って ミルにかけ お湯を注いで 香り楽しむ
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次男のクラスに避難転入せしお子は故郷ふくしまの街に戻れただろうか
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久方に 輸入菓子店 訪ねれば 値札に驚く 円安実感
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土手沿いの 園外保育の 稚児たちは カルガモのごとく 行列行進
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陽にあてた 蒲団にのこる あたたかさ それにもまさる ぬくもりのキオク 
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羽衣であなたの棘を少しずつ溶かすようなわたしの占術
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香箱でおててないない まくらさん もたれてねこは お外眺むる
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あぁいいな フロインドリーブ100周年 実はカフェには行ったことない
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定期検査おわって母は つつがなく 休憩してる 帰って寝なよ
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前髪の長めのワタシも悪くない 美容院なかなか行けぬ慰め
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鶴橋の名物といえば焼き肉と ファミマを知らぬ世代が叫ぶ
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たなごころメリタ使ってケニヤ淹れ白粉をふいた干し柿を食む
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喉元を過ぎてしまえば熱さなど来ないことだけ願う災厄
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品不足計画停電でこぼこ道介護しながら震災の日々
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マンホール出っぱりうねる道路には乾いた泥水さらさら白い
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まえうしろ車ゆさゆさ動くのを見ていたあの日あの揺れの中
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光さす地上へと向かうエスカレーター つかの間天に召される心地
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壁に背をもたれてズボン立って履くお腹出てても誇らしげなり
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ハイエナの性器のように肉体をあなたの前で拒絶できれば
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「もういちど歩く」ひとつの信念を分かちあなたと前を見据える
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今日の朝、可燃ゴミを捨てる時に恋心も捨てたい。無理だ。
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みだれ花 とりどりの色 街に挿し  春の音色に 心躍らす
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真白き雲 見上げて浮かぶ青空に  昔日の想いを 滲ます午前
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焼き尽くす ほどの強さは 感じない 染み入るように そその月 / 光る君へ
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強くあれ自分の舵取りできるよう加速する日々振り落とされぬよう
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ハジけると知りつつコワイモノ見たさ むかし「財テク」いま「新NISA
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暖かな日を選り祖父は帰宅する自分の家で生き抜くために
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零度の朝 取り出すブーツの傍らでベージュの春靴出番を待ちぬ
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遠い国へ 行ったはずだよ 直秀が 屋台でおでん たべてるまんぷく / 直秀ロス
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