暗い居間 やむなく照らす そうでなきゃ 憂鬱な午後に 溶け出しそうで
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母の手で 結んでくれた 靴紐の ちょうちょ結びに残るぬくもり
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すずめの声 夜明けとともに夏は往く答え合わせが終わってないのに
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この星はむかし誰かが見た星で私の後の誰かが見る星
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ごめんねと言ったけれどもオムライス スープぎこちなく距離をとってる
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出せぬまま 淵に溜まりし この思い それにつけても 早期復興
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山登り 苦しいけれど なぜ登る 後のビールが 死ぬほど旨い
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人生に 意味など無いと 哲学者 なんで生きるか 死ねねえからだ
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高校生 眠たい夜明け 5時に起き 好きな子と会う 牛乳配達
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コツがある ティッシュ配りは 目を見ない サッと渡せば 本能で拾う
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言い方が気に入らないと腹を立て 焼く卵焼き歪んで焼ける
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かつて観た 映画の俳優 ひとり減り ふたり減りして 寂しさ覚ゆ
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入れ知恵をされて嫌な気分がし上手くいったら親友と化す
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春めいて晴天の空輝いてスニーカー底なんだか弾む
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大阪へ吉本を観に出かけた日ダウンタウンが新人の頃
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ただ一度そういう恋がしたいなと母に言ったら私らそうよ
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しんみりとする別れ際旅立ちの君のスカート風になびいて
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八ヶ月前に変わつたアイテムの商品名の「新」はそのまま
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「残念なお知らせです」と介護士が「一人でカレー食べられてます」
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蛮行はゆるされませんほら見ろと北叟笑ほくそえんでた己は如何いかん
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悲報聞く持病の一つと重なりし ひとそれぞれとわかってはいて /いしだあゆみさんの御冥福を
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熱々がイイのは鍋の豆腐だけ 猫舌温度のカフェオレを飲む
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予定きめると 狙ったように おでましだ 今月前触れそんなになかった(油断した)
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よくなくねこ あんまりなかない ねこもいる おしゃべりずきは あぴーるじょうず
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水筒のパッキンすぐに入ったら朝のルーティンパチリとハマる
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うつくしい路傍の星になりたいと 願ったきのう 朝はつとめて
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友よりの 食材詰めし 送り物 いつも美味しき 郷土の恵み
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適当に辞典めくれば「ナポレオン」「鍋」と「生」の間に君臨
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愛だとか 優しさとかも 無償では めったにに提供されてないから!
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ペンギンの行列の如 ユラユラと 頭や肩が揺れる人混み
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