長き夜と ナガミヒナゲシ 散りぬれば ナガミ長雨に乗って 南風が来る
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あの頬に涙が似合ったそれでいて弛まぬばかりの未来があった
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雲一つない星空を駆け抜ける夜汽車は走る色を捨て去る
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ねこどうしが くっついてねる りゆうとは あんしんかん安心感で ここちよいのよ
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あと二十分寝られるかなと時計見て 十分だった時の落胆ガックリ
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猫の様に日焼けもシミも気にせずに思う存分お日様浴びたい
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隣り合い肩に感じる君にふと無音の思い届けと願う
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焼け野原引きずって手を引いてはしる私もあなたも火、ぜんぶが火
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割り箸の 片方だけを 歯にくわえ 割ったあと擦る 何の流儀かな
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握手する 外交交渉 笑顔の裏で 机の下には ピストル構え
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自分が 幸せならば 人は人 心に羨望 入る余地なし
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羨望に 囚われている 精神は ドロドロとした 悪魔の心
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組長の出所祝いに絶対に出しちゃいけないものはケーキだ
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あちこちにAIっぽい絵が増えて気持ち悪いしゲップが出るしもっと真面目に真似してくれよ
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暖かな気候の時期にだけ開花 年に二度 薔薇は羽を伸ばす
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青森がその名のとおり青森に輝く頃を俺は知ってる
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子育ては演技力も必要です昨日は鬼で今日は燃える火
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歩きつつ見上げたる空は花曇りわれまだ見ざる桜そに見ゆ
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背広置きワイシャツ姿で出勤の 朝は空気を皮膚呼吸する
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巡りきて忌日に生ける芍薬の母の想いでにまた甘えけり
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花びらの揺れる菖蒲あやめの萎れゆく淡いいのちの光り残せり  
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朝の明けアジサイの花露落とし気づかぬ夜半よわの雨を教へり
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死にたいと、消えたい楽になりたいと 便器の中に 霞む一粒
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植えられし 青田の水面瑞々し 清きみどりにつばくらめ飛ぶ 
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室生犀星さいせいの「遠くに有りて」とふ「故郷」へ高速道にて通勤するなり
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しあわせも ふしあわせも 俺のせい いろいろ言われる 俺はしあわせ
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倒れてる 自転車起こす 子ども見て 余計なことと 怒る父親
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決めるのは 今月中の 予定まで 未来はあまり 決めなくていい
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月面で 食う地球見そば 七味かけ 君はそっちで 宇宙食かい?
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風呂が沸くまでの時間だけ泣いて良し 気付いたら朝で風呂はしょんぼり
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