風邪ぎみの詰まった鼻をこじあける 昨日作った辛めのカレー
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その愛を百合と見立てるな人間だ 記号だらけの社会が憎い
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わたしたちうまくやれるわ そこらじゅうクリームまみれになったキッチン
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一度でも夢で逢えたらほんとうの気持ちをおしえて 腕の中のきみ
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この日頃夏日が続き夕陰に荒草刈れば汗しとどなる
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ストレスで 産み堕とされた黒いモノ おまえも俺だ ヴェノムと呼ぶよ
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イテイテのマンモも エコーも 経過観察変わりなく これ、殿方には解らぬ痛み
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ここはどこいったい何をしに来たの増えて近づく認知症にんちの海に
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私は変身できないけど君はヒーローだから背中推したい
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南国の 空と海とに 魅せられて 疲れし日々に 英気養う
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休み明けやれ遅刻だと駆け込めば知らぬ廃ビル誰の記憶か / 日常の怪
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手垢まみれのからだに透ける 私とあなたのセフィロトの樹
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最寄り駅 たまに見かける 老紳士 つけたあだ名は 令和のシャーロック
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靴を履き 扉開ければ ほんのりと甘い微風そよかぜの香 檸檬れもんの花
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目も眩むフラワームーンの光芒に結わえられたる宵の空かな
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牛乳の空きパック使い常温に冷ましたほうじ茶おともに連れて
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パンジーが行ってらっしゃいと我を見る 大丈夫だよと言われているよう
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ケシの花重きこうべを持ち上げて赤く開いた花言葉「感謝」
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芳醇な砂と砂糖を飲み下す シロップ剤のいちごあじ味
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近頃の物知りさんのネタ源は本ではなくてSNS
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通過する 風に逆らう この気持ち 少し強めに 切符を握る
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長き夜と ナガミヒナゲシ 散りぬれば ナガミ長雨に乗って 南風が来る
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あの頬に涙が似合ったそれでいて弛まぬばかりの未来があった
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雲一つない星空を駆け抜ける夜汽車は走る色を捨て去る
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ねこどうしが くっついてねる りゆうとは あんしんかん安心感で ここちよいのよ
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あと二十分寝られるかなと時計見て 十分だった時の落胆ガックリ
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猫の様に日焼けもシミも気にせずに思う存分お日様浴びたい
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隣り合い肩に感じる君にふと無音の思い届けと願う
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焼け野原引きずって手を引いてはしる私もあなたも火、ぜんぶが火
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割り箸の 片方だけを 歯にくわえ 割ったあと擦る 何の流儀かな
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