頑丈な老婆が座席の前に立つ大人を罵倒しなおも前に立つ
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天体の運行を知りわれを知るわれの無軌道些かなりや
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人生で わたしにとって 大切な 10秒間は 短歌詠むこと
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十年後気づいた過去の結び目を今更繕う愚者の涙は
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ずれていく公転軌道に気付けずにぬるくなってたぼくを焼く熱
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自分の気持ちを綴った葉書に付ける切手が見当たらないんだ
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吹き付ける雪で「止まれ」の文字消えて逆三角の形が頼り
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何をしてもうまくいかない月曜 今夜は息子と9時に就寝
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久々に四駆モードに切り替えて吹雪く帰路行く明日は凍るぞ
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何気なく 君の頭に 触れた手が そのまま溶ける ように馴染んだ
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にゃんにゃーん ゴハンもオヤツもほしいにゃん😸 君たちはそれでいいんだよと撫で
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彼岸入りわが町は仏花もつ人と数多すれ違う
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アンケート回答代のようなもの 当選ビールはあきらめてもいい(一缶だし。花粉‥)
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銃弾の様な列車の響き 軍用機の様なヘリの もみじ
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百合なんて言葉でくくらないで ただのでっかいでっかい愛です
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新卒の少女の声は自信満ち 「教師」の顔になりゆく弥生
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たまに来る制御不能な爆発が若さのせいなら大人になりたい
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来年は計画的にと思いつつ申告終われば熱さ忘れる
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この世界 片隅にいて 今のとこ 見つけてもらえる気配はないな
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戸籍から 鬼籍に転籍 まだ早し それにつけても 早期復興
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今ここで 春一番に 吹かれても ぬぐえない あの春の想い出
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四十路にて俯きつま先見て歩く私は愛に相応ふさわしくない
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兄弟の家族に迷惑かけるから 長生きするなと老父に言われ
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いつも見てくれている人見ていたい 僕は些か我儘な蝶
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昼下がり寝息すぴすぴ愛犬の このひとときよ永遠であれ
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地図見るの不得意だからとりあえず 歩いた向きで方角を知る
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英訳を すると枷とか束縛に なることもある 絆ってもの
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蛍光灯雨の降る街 水槽の魚と私はどこが違うの
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教室を出たらもうサヨナラだから第二ボタンをグッと握る
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今日もまた 踊り場のない階段で 踊り疲れて うずくまる君
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