黒砂糖ふたかけらほどアテにして ストーヴけずに湯割りでしのぐ夜
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いつも駅のホームより 見えていた 紅い光が煙に巻かれて
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こんにちは昼の陽射しよ さようならと手をふろうと した夕焼けよ
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白妙の 清き衣の 雪柳 桜咲く前 春の出迎へ 
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春が来る 前へ進めと告げるのに心構えもできないままで
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青い海 悲しいほどに 青い空 時流れても 鎮魂の歌
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戦争も 犯罪もない世の中が やっと来たねと いつか言えたら
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納税し、直後に仕事をなくした日、楽しい日本に生きる嬉しさ
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まずいよね 夢に誘われ 老いぼれる ろくでもねえぞ こんな生き様
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誰もこぬ 川縁独り夜を待ち 空にさけんであすへとつなぐ
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もういらない証明写真を引き出しにしまう だれかがホームラン打たれてる
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帰宅後の三十分を逃しをり面倒になり今日も「風呂キャン」
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気付いてた前を行くぼくの背に向けてあなたが舌を出していたこと
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いくつかの詩歌をうちにはらみつつ実を結ぶかは知らない花瓶
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まだポツリポツリ聞こえる白鳥の声群れるのが嫌なのかなと
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憧れの黄色いカバン届いたよ進級式が待ち遠しいね
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一年の目標はずっと「イイオンナ」 ティーンエイジャー過ぎた頃から
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子ども抱き鏡に映る腹を見て愕然とするアラフォーのママ
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じわじわと 関西のライフ(店舗数)増えていく つくしの子が生え 伸びるやうなり
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たうりんタウリン」は とてもたいせつな えいよう栄養よ ねこは じぶんで つくれニャイのよ
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風呂の湯じゃないんだけどな手を入れてガサガサ練って用を足す猫
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親友きみと共に石和いさわあたりの温泉にゆるり浸かりてとき過ごしたい
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俵万智 Xツイッター届き僕もまた ふと詠み始む 怪物めいて
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「あいつまた会社に行くんだ、好きだねぇ」 毎朝必ず鳴くカラスたち
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じいちゃんへ そっちは春が来ましたか? それともまだこっちにいるの
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蜜を吸う鳥の重さで枝しなる春を喜び鳴き交わす空
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春飛ばし いきなりの初夏 洗濯機 回しては干し 干しては回す
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どけどけと迫りくるクロ煩わし道を譲りぬお先にどうぞ
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かの君の 電話を待ちて 恐れたり はじめの言葉 せめて優しく
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不意打ちの春の息吹に耐えかねて右手に託した厚手のコート
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