注射後にアウアウ鳴いている犬を宥める獣医のやわらかな声
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五円玉十円玉の幅きかす駄菓子選ぶや子らの王国
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「ありがとう」不意にこぼれて春の日に ミニカーだけが知る青い空
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気取られず 闇が飲み込む 花畑 花を摘みつつ背反りて光
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由なんてない気まぐれに逃がさるる蜘蛛殺さるる蜘蛛朝や夜
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これ以上成長することなどないとあの日思った今日も思った
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あの時「ケツゴム(笑)」と笑ってくれたからシもツもソもンもきれいに書ける
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もう二度と 目覚めないかも そう怯え 眠りについたのは いつが最後か
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金沢でおでんにはたはた暴飲も 3キロ泳いで帳尻合わせ
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鳥居越し 国旗がそよぐ 拝殿へ 日なた日陰を 通り行き交う
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世界平和なんて無理かも、ジョン・レノン。こんな小さな職場がギスギス。
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目くらいは合わせてくれてもいいのに、と思いつつ私、目を伏せている。
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生きづらい、生きづらい、ってつぶやいてる人の彼氏の年収を知る。
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スーパーのチラシに家族が溶けていて私自身は何も見えない
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天をつく梢めがけて花昇り白梅の咲く枝黒々と
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曇天のもと 椿の鮮やかなあか 余寒の朝に 彩り添へり
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鳩のこと何も知らない すべからく鳩も私を知らないだろう
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隠れ蓑羽織る数だけ身は軽く化身ふえゆき我も誰やら
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如月のきっと結んだ糸口が解されてゆく「や・よ・い」という音
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だめなこと おかしいことに 声を上げ 守っていこう 明日の世代を
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平日の 午前十時 駅近は さえずり靴音 子等の歓声こえあり
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ひよっこが 意味わからずに 歌わされ あの素晴らしい 愛をもう一度
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あといくつ摘めば満つるや春の野に白紫の花かご匂う
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流れ行く景色とともに雨の粒 車窓に糸引く春の通り雨
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レンジからさじ入れたままのマグカップひやり起きたら休まなあかん/無事で何より
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「このハゲーッ!」 が 広く世間に 流布したる 知名度武器に 立候補しき
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水温む 水面にマガモ降り立ちて 藻屑ついばむ のどけき風景
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誰の手も 届かぬように しまい置く 櫛笥(くしげ)の中の 玉櫛の妹(いも)
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思ほえば 喜怒哀楽の 彼岸にて わななくわななく 触れし柔肌
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このハゲと 執ねく秘書を いたぶりし人 返り咲く ほとぼりさめて
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