咳き込めばトローチ持ちて妻のくる隣の部屋の壁の薄さよ
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「邪魔だよ」と「退けよ」とおきな毒を吐く他人ひとのささくれ我が身に移る/いつものスーパにて
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大谷のホームランの音なりよりも吾にとっては良薬となり
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約束の旅行叶わずふさぐ吾に梅満開と杖渡す夫
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ダーリンとハニーで呼び合う冗談が本気だったの、結婚してよ!
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吟ずれば齢無縁の言の葉に鷲と掴まれ直に腑に落つ
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農協の旅行直前キャンセルす去年の約束やはり叶わず
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花便り昨日は尾道 今日 は伊勢 上野を経れば弘前に花
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冬陽射し つらら溶けれども 春寒し 雪間をぬうや 雪解川 独り酒酌み 草枕
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さくら花散るを誉れといくさ場につぼみの学徒数多帰らず
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あの子なら起きているかも午前二時 いつもはしないお話しよう?
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みちのくは桃梅 桜同時咲く夕餉の仕度に紫の雲
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観桜は満開の花に 花吹雪 川を流るる花筏まで
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戦争も花粉も我の上をゆくどこまで鈍感でいられるか
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救いとは苦しみの果て「ほんたうのさひはい」さがす『銀河の図書室』
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水仙の芽吹きの色のまぶしさよ子に送る荷に春をひとさじ
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雪女郎の さよならの声 きいている 淡く大きく 真っ直ぐに昇る
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完璧な朝じゃなくてもいいじゃない 光を浴びに靴履く休日
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西域の 砂の嵐に 晒されて 滅びし 敦煌とんこう 莫高窟ばっこうくつ
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ミッションはゴミ出し、チャリ通10km、お仕事さ お金に吊られ宙を泳がん
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豆苗の子々孫々に感謝して水を換えつつ三代目待つ
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忽然と 現る栄華 桐の紋 滅びし城は 蜃気楼のごと
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白髪を櫛けづる手もおぼつかぬ老ひが養ふ子の五十ごじうかな \8050問題
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頭突きして きた猫顔で あがり目 さがり目ぐるっと まわって猫の目
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親戚の鼻筋見ればふと分かり祖父と吾には禿げの血筋も
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生きてきた証と思うしみ、しわも 鏡の前の薄化粧の春
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一日ひとひ終へ バツ印増へゆく暦 過去へ戻らず 歩みぬ印
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攻撃の応酬続き反戦歌作ってもムダ歌ってもムダ
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雲ひとつ なく広がった み空色 悲しいほど いいお天気
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石橋を叩いて渡らぬ七十路ななそじの君の復職苦難へ飛ベリ
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