春の宵空薫そらだきのごと香しき匂ひ運びぬ梅の下風
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山の火を鎮め給へよ雨の神 吾の子が暮らす伊予の郷ゆえ
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本を手にしてはねころぶ空のした旅してゆこうひろきこころを
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千二百三十四首まあ特に意味はなくっていちにいさんし!
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「銀河」といふ 実家の母の 紫陽花よ 葉っぱが山ほどついて春かな
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詠みたくも 言の葉遠く筆とどむ 日々の彩り いかに結ばん
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早々と木蓮もくれんの花散り落ちる 1面広がる白い花道
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あて所不明で戻ってきた手紙 送られなくてよかった手紙
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普段なら買えぬ ピンクのガーベラを 「春」を理由に 客間へ迎え
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病院の 空青くして ちぎれ雲 ひと空を見上げ やまいへ帰りおり
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嫌だとか つまらないとか 関係ねえ 日の出日の入り 春夏秋冬
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窓際に猫が寄り付きだして春ガラス越しに蝶追いかけて春
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退社まで友達でいてくれたひとaikoの歌が上手かったひと
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黄砂とか 花粉交じりの 霞空 顔にべっとり 家に戻れば
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幸せと 言ったところで 其々が 感じるところ 違うでしょうし
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幻に 向かいて話し 格闘す 苦き杯 飲まないように
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期待して 落胆してと 繰り返す 感謝を知らぬ 空蝉の世
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春風が 吹き荒れる中 今日もまた 仕事に出かけ しょんぼり帰る
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のんびりと 愉快豊かな 人生を 期待したけど 甘かったよな
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側溝に 水が来なけりゃ 菜園の 未来はないと 今更至極
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東大に 入学しても 両親を そんな恨んで 悲しい話
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「これなに?」とたびごと教えし言葉らを 胸に留めし いとしき息子
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密やかに にほへば春や 沈丁花 を探せよと 囁くがごと
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菩提寺の桜今年も咲き初むる巡る季節と流るる時と
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永遠に掘り起こさないで あの石の本当の色をたしかめたくない
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我なしで 母子きみら幸せ掴むなら それでいいんだ それがいいんだ。
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昼過ぎにミモザの花をリビングへ  素敵な春を連れておいでよ
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散り落ちたばらの花びらをあつめてもばらにはならない 破かれたチュチュ
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過ぎ行くは季節も時もあっけなくされどたしかな轍を描く
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息を吸い灰を捨てよう晴れた日に 座っていれば迷子にならない
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