空気しか無い部屋の中2人きり溺れるようなキスの苦しさ
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夕空に伸びた木の影 がしゃどくろ ゆらりゆらりと手招いている
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外が暗い もう暗いよと騒ぐ子ら 日がない冬も楽しげな子ら
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寒いのは 何も済ませず眠る夜 床は冷たい 脈だけがはやい
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山のにいさよふ雲もないままに 私の終わりを見届ける君
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雨音は 傘のおしゃべりぷつぷつと 持ち主に向かって 温かい歌を
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死ぬ時は くもりの日だけ避けておく 青空に征く 魂のために
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出来損ない それでも自分を追い詰める 努力は美徳と 神話を信じ
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萌えアニメ 裸足で駆け出す 少女たち おもちゃの銃で 撃ち合う8月
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ダメ人間 至極真っ当そうだよな 鬱で苦しみ 無断欠勤
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苦しいと叫んで誰に届くのか あなたは私に届かせるけど
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ジョギングの反射材たち固まって高架下にて雨止みを待つ
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遠のく目覚ましの音怒られる朝でもまだ半袖パジャマ
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生きること 朝昼晩と ご飯を食べる 隣りに並ぶは 冷たい椅子で
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遠くまで来てしまってから気付く これは誰かの物語だと
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行列に 千年の時 蘇り 御所に秋風 都の雅
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地獄から 手脚捥げよが這ってでも 俺の生き様晒してやるわ
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永遠の距離があるから話せるのあなたの中に私いるのよ
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目覚ましは木魚のビート壁隔てオマケでテストなんとかなるか
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石臼をついてはこねて雲ヶ畑 黄な粉を纏う秋の望月
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麻婆をはふはふ食んで火を噴けば竜は笑って器を回り
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目が合った馴染なじみの猫の挨拶あいさつ尻尾しっぽを立てる躊躇ためらうように
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侍の機嫌損ねた旅の者命惜しくて綺麗な土下座
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飼い猫が粘着系のガムテープのにおいを嗅いでエア砂かけ
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カポエイラかテコンドーかいや待てよその体つきはセパタクロー
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残業し お疲れさまと 草津の湯 入浴剤が どこでもドアに
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誤りて 南瓜切る手を 傷つけぬ ルビーの如き 血に見惚れ居り
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AIに自分のいいとこ褒めさせて明るい気持ちでぐっすり眠る
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ふみふみ🐾の・きせつ季節 ことしもやってきた ぬくもり愛し さらに眠くなる
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ベランダでちょこちょこ愛らし磯鵯いそひよどり 仄暗く寒い一日ひとひ和ませ
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