目薬も乾いた口に含む茶もトイレも増えて秋と思いし/シェーグレン症候群
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血色の悪さをまるで美のように褒め合う怖気立つ美白主義
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早起きは三文の徳顔知らぬ君とマンゴージュースに乾杯
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しとしとと秋雨の日の風景はどこか寂しげに目に映りけり
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オスナ蹴る、胴上げ縦に飛ぶ、そんな君の真面目すぎる流し打ち /31 山崎晃太朗
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私とは誰であろうか おいっそこの誰か 名前をよびかけてくれ
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それぞれの正義が呼ぶは愛憎あいぞうか 行き方違えど 同じのもと
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新札の現物をまだ見ていない現金使う機会無いから
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昨日まで冷たいお茶欲したが今日はホットティー味わう
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口惜しき過古ありぬ ぼくら係留場の反対にゐて
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唇を噛んで悩んで揺れながら過ごした若き日愛し秋の夕
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映画ではない日々をただ過ごしてく葡萄は葡萄の味をしながら
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散歩道朝露光る草むらの虫のむらにて杖の音止まる
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点眼し上向きながら髭を剃る今日から徐々に日常再開
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謝意の意を短歌うたで詠むには短すぎ 百字ありてもまだ足りぬやも
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トンボ舞い虫の声にも秋見つけ歩みを止める秋の小径に
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河原では 若者達が 集まりて 芋煮を囲こむ 秋の風物詩
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畦道に 満開に咲く 曼珠沙華 辺り一面 くれないに燃ゆる
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大ぶりの 太ったサンマが 恋しくて 探し回れど 姿が見れず
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このつらき思ひもやがて歌となり はばたいてゆくときを待ちつつ
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ハムづくりが語源とふハムストリングの張りをストレッチしつつ確かむ
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おととしは形もなくて一歳半 いま一族の主役となりぬ
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「あの花の名は何だろう」「何でしょう」、他愛ないけど二人の時間
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不自由な心を閉じ込め肉体は 息をしながら棺桶となる
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頼むから好きなら好きと言ってくれ決して僕には言えないけれど
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一列に八分音符の小鳥たち 夕空浮かぶ ファファファの五線譜
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推しバンド故に白けることがある予定調和のアンコール聞き
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同窓会 毎回同じ顔ぶれで 会いたい人に会えたことなし
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夕暮れに黒田三郎ふと思い はみ出た自分癒すひととき
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曼殊沙華去年の場所に咲いていて 二週遅れは暑さの抗議
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