カマキリの子らわらわらと溢れ出て草むらの中四方へと散る
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どんな日も君に会えば晴れ渡る 気まぐれ桜が濡れても散っても
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真っ直ぐにただ真っ直ぐに生きてゆくそれだけでもう素晴らしきこと
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屋久島のモッチョム岳に登り立ち はるか平らの種子島見ゆ
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宵に逢い深夜の別れは早過ぎて相対性の理論を恨む
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里芋の畝作りには暑すぎたそんな三月二十六日
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キミの嫁夢見た若き日ノートには キミの苗字と私の名前
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ドーナツよ淋しくないかポッカリと まあるい穴があいているのに
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甘辛のタレが絡まる肉巻きは陶器の皿で熱く輝き
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忙しくネタは数多にあるものを心が疲れて短歌うたは浮かばぬ
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菜の花の黄色い波を道として歩きほほえむ恵みの春よ
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道徳に背く事ほど好む人間ひと これが性かと不信極まる
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僕の背中を追った君は どこにいったのだろうか
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雲を割る斜陽を浴びて濛々と雲を目指すはいつかの言の葉
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太ってた頃より思う痩せたいは 想いでしょうか病気でしょうか
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夜の公園のベンチに一人 われ その横に猫 きみもひとりか
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もう二度と目覚めたくない きみがいる世界の時間をすすめたくない
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チクられた10万円のお小遣い 高いと妬むか ははんと笑うか
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花隧道くぐればそこは過去の俺 戻ればここは今の私か
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川風で盛りが遅くなるにつれ 待つや楽しき花の隧道
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有休を 取りて机に ただ向かい 資格勉強 遅れ詰める春
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心地よく お昼寝中の 我が猫を 手繰り寄せたら 無下に叱られ
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室内は もはや夏日で また春を 通り越しては 季節が揺らぐ
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同じ春を繰り返し 叶わぬことを知りながら また過ぎる君 僕を待たずに
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花の舞う日を待ち仰ぐ空の果て いまは黄砂すな舞い 目も開けられず
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欠品になるかならぬか夕暮れの走れメロスの如き納品
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春霞 ハロ見える程黄砂降り 髪なんかより肺洗いたし
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信号を待つ「押しボタン式」映る「おまちください」あっ青になった
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春の宵空薫そらだきのごと香しき匂ひ運びぬ梅の下風
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山の火を鎮め給へよ雨の神 吾の子が暮らす伊予の郷ゆえ
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