千鳥波 合わせてうねる 君の髪 波間に馴染む 海の記憶と
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開いては閉じ 歌集からいつか出る蟻の死体は潰れぬままに
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水切りの跳ねる水面を眺めてる 川や海へと地球一周
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ユウスゲの花が開くころ彼の岸のあの子の声が聞こえた気がする
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水族館からいつも見ていた大きな船 今日友だちが乗ってるらしい
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不安げにさまようシダの胞子たち 大丈夫、未来は♡になるよ (♡形の前葉体になります)
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風立てば 紺碧の海 光りて 鳥羽行きの船 あれが伊良湖よ
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チャチャチャっと会話終えたい講義室早送りボタン君には何処に
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靴紐が濡れては解け結ぶとき溢れて光る雪の空気よ
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あんぱんはごま数えてから食べる330粒くらいかな
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あれこれと試してみては考える がっしりとした立派なカラス
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祖母の呼吸雪花を溶かすほどしずか長い役目を終えて去るのか
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早紀さんを好きと言えずに冬がきた雨が雪へと変わるようだね
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友達は少ないのよって言うけれど 着歴俺だけって少なくね?
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今更にコクマルガラスなる種を知りイメージと違う鳴き声愛らし
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悲しくて辛い時にはともかくも布団に入り眠るに限る
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動物に優しい人は必ずや人にとっても優しい人だ
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朝日受け川面に遊ぶ白鷺しらさぎの優美な姿 似つかぬダミ声
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スタンプを 押すのがやっとのメンタルに 君のLINEは もはや拷問
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淡々と 平凡をつみ かさねゆく 白雪を踏み しめながら行く
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友に逢う車窓の景色も駆け抜ける 東へ向かう新幹線にて
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水鳥の 群れが列なし その背後 朝の光線 かき分けて射す
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汗·涙ツリーのイルミに煌めけり新東名の谷の工事場
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薄明が やがて訪れ 海の輪郭 なぞる東雲 視界よ開け
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心身の痛み無きこと それあらば ただ有難き後生と思へり
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公園の 風に揺られしブランコが 遊ぶ子ら無し 哀愁さそう 
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降り続くぼたん雪のなか出仕せしも健診科には人影まばら
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消えかたを忘れた雪は固まって砕け散るのをじっと待ってる
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ひとはみな小さな月だ 満月のひかりをきみは反射している
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真剣な 目の奥にある 師の言葉 「記せ五感で」 耳奥で鳴る
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