出おくれた秋とりもどそうとしたけどいきばのないモクセイの香水
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公園をキャッキャと走る幼な子よ ゼンマイ仕掛けの人形かキミ(可愛い)
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慎重さ過ぎると好機逃しがち冬には過ぎるくらいで無怪我
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くるくるとダンスのように落ち葉舞う 次はわたくしと踊りましょうよ
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一本の背筋正しき落葉松が ころも黄に替え威儀を正して(戸山キャンパス)
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あけすいこもごも囲む陽だまりに 寒さ知らずの学生寝そべり(大隈庭園)
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話しかけにくそうにする同級生 そんなに私の顔は怖いか
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歳末の雑踏の風受けながらひとりひとりの生活想う
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タイムラインハートを押してパン頬張る 冬季限定購買菓子パン
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冷え切った指先ふうふうふきながら友と歩いた下校道
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でき得れば刺し子しながら突っ伏してこの世の生をまっとうしたい
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厨房はにわかに笑う壁隔てひとりかき込む給食の春雨
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役満で 一発逆転 大勝利 叶わぬ受験は コツコツ勉強
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たましひが人の形をしてをらず、昼の真中をわれが歩けり
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貫禄や風格出るは歳なりに されど品格あると限らず (誰とは言いませんが)
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「三倍満‼︎」 鳥止まっている 清ら竹 渡す三つ点棒 「千点棒せんてん返して」
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病休の薄明るい部屋ヤナギ挿すコーラのびんの水を変えたい
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水鳥が 見つめるアルプス 白き山 下校の子の影 風に揺らめく
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オオルリの谷イヌシダは葉を垂らし気体に泳ぐ川は流れる
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この池はもうすぐ終わるヒメシダは泥をかぶった君は見つめる (note既出)
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船が橋をくぐると記念メダルつくるときの曲が橋から流れる
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南西のとおい岬に灯台が 彼はつかれた手を振り笑った
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つむっていられない目をつむる代わりにぬいぐるみ撫でるたすけてほしい
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39度あわい意識の川べりで言葉が増殖する吐き気がする
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ガラス玉のなかに一ぴき魚がいる 固体の海では泳げずにいる
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寝ながらもあれこれ迷い詠んだ歌目覚めと共にすべてデリートDelete
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火を囲み 「春の匂い」を 語る君 知り得ぬ言葉に 黙るばかりで
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「未来など 見えぬままで」と 語る声 冷えた指先 月影にゆれ
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いつの間に遠くに去った君の靴まだ下駄箱に残っているのに
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土地ごとの林檎の酸味色々で強弱あるのはコーヒーみたい
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