流れゆく電車の外と時がただ 我を切なく振り返らせる
13
今年二度目の雪が降る前に親指より細いボールペンをセルフレジに通した
7
健診を 終へて解禁 唐揚げを 同僚ともと味わい 残業続く
33
天気図に早も台風一号と… まだもう少し冬に浸らせて
25
夕暮れに甘えた声で鳴く鴉待つもののありねぐらへ帰るか
16
インフレの波に飲まれたレアキャラに分不相応にもシンパシー
7
降圧剤 父の記憶を小分けして 同じ薬をお古のケースへ
21
風だけがたどり着く街 道はなく家もなく 砂一面の朝
9
長所とか才能みたいなのはないがそこそこ美味いタコス作れる
10
冬の陽の低く届きぬ工場の舗道舗石の目地のやはらか
19
爆乳を 前にして沈黙 ただ満ちる  白き重みに 夜が膝を折る
6
ヤマザキの 白いボウルは 人気者 設置したらば よくおみずのむ
21
目的をクリアに持てば大丈夫思考も晴れてまた歩み出す
30
絶版の歌集をさがす 白樺の林のような古本屋にて
26
彩雲さいうんを まといし冬日ふゆひ 現れる  る昼さがり 良き昼さがり
15
はやぶさが 日翳ひかげぞらで いさかうを  地べたでながむ ただの人
14
君のこと忘れたけれどエクレアは今もかならず下向けて食べる
8
選択し洗濯してのくりかえし心のシミは落ちにくいから
18
さしのべた手は優しさか迷惑か 花と散れずに枝つく枯れ葉
12
初雪が名残りの柿を白く染めめぐりそこねた季節を隠す
23
妻と母 語らい尽きぬ 昼下がり ひかりの束の 天窓の下
21
ねこたちは すやすやねてる 寝かしとこ おかあちゃんは 寝室で練習
17
おみかんと トマトスープのパスタ食む 左手の桜ネイルだけ 塗り直し
19
内容は自分で考え 定型に落とし込むのはAI任せ
6
新しいOSが追加したものは 古いワードを開かせないこと
7
満たされた同じ時間を過ごしてるようで違った目の向く先は
27
あたたかいミルクに溶かす高純度の絶望飲みこんで吐いたら死
6
ノアールを スーパーカップに のせて食う うるせーBBA 今日はお休み
6
呑み込んで言わずに終わる後悔と思うまま言った後悔どちらも重く
27
心折れ 今を嘆きし 老木に  接ぎ木を成して 見届ける妻
18