黄葉の林を抜ける赤電車獲物を狙うカメラのシャッター
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湯あみせばほのと匂ひてあから曳く肌を包みしタヲルは白し
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銭湯のちんぽこさはに揺れてあり 人間もまた動物なるや
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右足を後ろに引いて 信号が青に変われば放たれる弓
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枕元数えた羊の亡骸を抱えることなく明日に託して
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好き嫌い あってもいいと 思うんだ 嫌いは嫌い 好きは好きで
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組み立ててもらいたいならあらかじめバラバラになる必要がある
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三人で 笑って食べて た 夕飯を 息子と二人 君に供える…
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自転車のねずみ捕りこそやってくれ どんどん捕まえどんどん罰せよ
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武士ならば魂の太刀放るまい 人は見てるぞお前の仕草(反大谷)
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昼弁当 夏の疲れか休憩所 思いのほかの深い眠りに
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同僚が里で育てたブロコリや 塩うでにして山葵マヨつけ
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嬉しきは早咲き遅咲き木犀モクセイの香り永きに街漂へる
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村祭り意訳をすればハロウィンぞ 実りの秋に喜び溢れ
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クレーンの傷がついてるクッションを抱いて笑った 2 PLAYER
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はじまりのおわりをそっと見送って ぐっばい あでぃおす さよなら、またね
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補聴器の拙い感触 ぼくだけがあなたの耳になれたらなんて
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こっちもね痛いんですよ 左膝三十路過ぎの主張デカく
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聞き回る テストの点を 友達に 我より高く 現実を知る
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平均が 低く祈った あの時間 我より高く 突き落とされる
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偏差値に 囚われすぎず 程々に 目安になるが 合否ではない
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返されて ハッと驚く この点を 点低すぎて 言葉失う
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楽しみを とっておいたら なくなった 逃げないよって 言われたのに
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ペットボトルの飲み口が臭う 舌から鉄の味がする 生きてる
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怖い寒い鋭いつららの様 彼女の陰口 刺されれば死ぬ
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短歌の様な恋をしてみたい 綺麗で透明で苦味があって
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鼻を逆流する液体吐き捨てる 私の一部が死骸となり
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蛇口と喉仏くらい似ていると思う シャンプーと鎖骨って
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残り物みんな きのこと炒めらる 今日はしいたけ 明日はしめじ
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帰り道 すでに夕日は 見えなくて 墨をるよに 夜が溶けだす
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