空間をさまよふ視点*ひびく声*さかまく好奇心はかなたに
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春風に 桜咲く日が 見え隠れ その時までに 道を拓こう
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側溝の 継ぎ目にできた 隙間から 水がぽたぽた 利用に工夫
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立ち込める 疑惑のような 白い霧 高い所は 大雪だとか
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褪せしイルカのぬいぐるみを 絞め殺すようで君ととなりにねる幸福
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透くやうなバラの花束感涙の難き日々にも心通ひぬ
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めちゃ寒い 雨も降ってる 道すがら どうしようかな 今日のマラソン
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春雨が 雪にかわりて 梅にむ 寒戻りても は戻らん
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庭の雪ちりちり融けて顔見せし黒き土すでに草はやしをり
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我がきみは 梅花の頃に始まりぬ 愛猫慄くクシャミの嵐   
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夢の中いつも異国で迷ふ夢深層心理か夢で良かった
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税務署の待機列も申告の控えの判も消えゆく令和
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一年の医療費を打ち込む手間省け万歳三唱マイナポータル
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三人の子の医療費を超えてゆく四十路を過ぎた家人とわたし
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マイナンバーカードに初めて感謝する電子確定申告をして
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苦しいが喉に押し込むハイボール 一体何を目的にせん
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怖くって流れる時間を掴もうと 夜更かしすれども既に遠くに
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戦争の 反対は 趣味  儲からぬ それでも豊か 歌も平和も
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いつまでも 続くかどうか わからない  新しい趣味 誰にも言えず
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満ちる月 光明るく驚いて はっきり見える君の瞳も
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フィルターを通した光は優しくて心の澱を浄化してくれる
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3ページ目から白紙になっているノートがきっと5冊はあります
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銀行に入ったぼくの友だちは漫画じゃなくて新聞を読む
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一歩先 お出汁だしの香り キッチンとわたしの間をやさしく埋める
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湯気と注がれたカップの波打ち際 砂糖の砂浜 琥珀色の海
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なぜ教えてくれなかったの、電子レンジの加熱が冷めやすいこととか
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オレオレの 撲滅音頭 踊るより 自治会の情報管理厳格に
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この春の蕾に込めた一房の実ることなき世界の仕草
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すっ転び立ち上がろうと片膝をついた瞬間「ヨーイ」の体勢
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一区切りまた新しく次が来る来てくれる時に感謝を贈る
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