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吊るされて寄り添う影は青い渦 智慧はただ風 苦海の波間に
9
川面にも流れる想い浮かび行く果ては海まで届けと願い
6
合いの手を入れる漫才寄席の奥暖簾をめくりコンビながめる
8
野分け後にやっと満ちたる園の池それと飛び交う
蜻蛉
(
とんぼ
)
や
蜻蛉
(
とんぼ
)
25
ないはずの 質量感じる 陽の光 地面に現る 分身を踏む
11
馬鹿息子西瓜送って返事無し金の催促ないだけ良いか
10
美味なお茶抹茶茶碗を傾ける手の名物をじっくり眺め
6
パソコンのログインパスワード10文字の記憶うすれしも指は忘れぬ
8
エアコンを神とも思う なれどなお あにはからんや熱風の出る
11
信号で日傘たたんで潤して一首メモしてまた風に乗り
13
気持ち込め「お先にどうぞ」とリンリリン ベルも言葉が喋れるのかな?
8
大人にさなりたての牙で噛み付こう九月のぴんと晴れたこの日に
9
島国の高温多湿な本邦で
日毎
(
ひごと
)
の風呂ぞ人権と思う
17
二万円あの二万円どこ消えた総理大臣誰だとしても
15
真夜中の窓をうつ風秋空と鈴懸の葉をのこし去りゆく
15
ドリップの銘柄迷う アラカルトセットの楽し 秋来たる朝
14
この街の屋外プールは明日までで 家族連らが最後の夏を
16
入れ墨を
背中
(
せな
)
に隠した若者が Tシャツを着てライフセーバー
21
同窓へいつも以上にしゅっとした「御中」の字であらわす気持ち
11
トマトあらう 水もぬるくはなくなりて 長月6日 けふは寅の日
18
チビ猫は けさは「ろいず」の チビ猫で かべにうつる かげまで ねこみみ
17
ねこの手を にぎって 心地良く寝落ちした 目覚めさわやか 本日快晴!
20
夏季休暇終了同時告白後失恋全治二十四時間
11
囚われない心の檻にも世間にも戯れ遊ぶ童のように
10
看板の 日陰に群がる 朝の人 信号の前の 変な空間
14
君が言う死んでるように生きている何も言えずにエクレア分ける
10
雨あがる
竿
(
さお
)
しなる程洗ひ物 活きる証が町にはためく
50
神様は起こしてくれる気が効くね働き遊び疲れ果てても
12
どのイルカ見ればいいのかわからなくてきみが見ているイルカを見ていた
18
小庭にも揚羽舞い来て心浮くそよぐ木立ちにキジバトの声
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