情報の 内と外との シンクロが いともおかしな 現代社会
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理想郷フィクションはフィクサーの手のひらの内 裏切りをもって悪夢に変わる
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脱毛症円形の増えし女の命髪の毛嘆いては癒しを求めウタカタに来る
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本日はおうち(ミニ)アフタヌーンティーもどき ショートブレッドにチョコがけイチゴ>あったかミルクティーで
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独りでに望まぬ道を行く思考 自分も自分の敵なのだと知る
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紙をすくいたつきははや忘れられ連綿たるはただ文字のつら
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成人式帰りの晴れ着姿の子もプリクラ機に集まる令和
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遥けき野のぞむわが庵 雪の庭 音もなき夜の山裾の灯は
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翼なき鉄の棒が語る神話 ここにはかつて人間がいた
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ぎょせぬ気の病暴れて疲れ果て 寝込むしかできぬ身体の無力さ
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同業の後期高齢新年会乾杯前にまずは黙祷
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知られたい鬱屈うっくつ隠し普通のフリ 嫌忌けんきを恐れ周囲に線を引く
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花も葉も毒でちても根は良いと聞いて信じられるとでも思うの
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地割れのように裂けた心に降る涙雨 傷の隙間浸されうず
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触れたなら運命の糸は絡みつきあがくほどに深く縛られ
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触れたならぬいぐるみと目が合うのあたしだけしかいない部屋で
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もういっそぜんぶまるっと手放してわたしは貴方の犬になりたい
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腹巻きとモコモコ靴下 手放せぬ 冷えに冷えたる週末となり
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こばらすいた ねことの攻防 疲れ果て ねこ母お昼は コンポタおかゆ
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真間川を遡ること一時間 手児奈を祀るやしろで厠
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嘴を羽にくるんで丸くなり じゅんさい池の鴨は昼寝で
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冬枯れのじゅんさい池に鴨浮いて なにやらついばむ弱い何かを
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料理家は七十五歳でギター始める四十路での新世界にも勇気をくれる
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壊れ散る感情の破片 元通り目指し何度でも繋いで生きて
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食べぬのにバレンタインにチョコくれと。父にもっとあげればよかった
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無情な世恨む執念手放せず笑顔も忘れ枯れきった心
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鉛の夜煙草をふかし髪の毛ジリッと焼いてみた 生きていた
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早朝から偉業成し得た優越感 シーツを洗ってただ干しただけ
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寒雀北風吹けば電線に身を寄せ合い羽毛ふくらませ
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寒に入りしみり餅作ると夕暮れに水に浸せし餅を軒先に吊す
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