小銃の安全装置もはずせない自分を恥じて噛むガンモドキ
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みたされて添ひふす閨のくらがりをほのかにてらす秋の夜の月
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横顔に 青春時代 アドレセンスの 陰見たり 尾崎豊の唄 君は愛で
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動くきみを生で見たいし秋だからコロッケを肉屋で買ってきて
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混じり気のないコバルトの空の下僕らはどこにも行けない迷子
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人生の約三割は睡眠で七割ぐらいは退屈だった
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言ひよどむくちびるあかき去りぎはのあきのゆふべのあざみ野のえき
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『東南が吉』のお告げを聞いた者のみが集った黄昏のイオン
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ゆるやかにマズルカは鳴り甘やかにリラの花咲くいざ唇を君
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オレンジを落としたみたいな夕焼けに明日の天気を思う子供ら
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食欲の秋になりますコンビニのかぼちゃプリンを君に教えたい
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泡沫の夢の終わりは透明な鳥籠の中から見る世界
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どの季節も結局一人寂しくて、きっとこのまま好きになれない
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二十二時グレーの毛布の海の中か細い声は泡となるだろう
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不幸中の幸とでも言うべきかな、パンドラの箱にお別れのキス
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買いに行く気力も無くて石鹸できしむ髪、朝、怒らないでね
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低いとか言ってごめんね声が出ていたこと自体すごかったのに
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安寧の場所がトイレの個室しかない同類よ、この指とまれ
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ぼくたちは青白く淡い希死念慮切れたシャンプー 買い帰るのに
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明日の二時錦糸町駅南口に立つ老婆こそ未来のきみだ
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‪慎重に進んでだめになったから極端だけど次は気楽に‬
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背景の一部になっていく君がいたから少し優しくなれる
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「夜までに止むといいね」と言う君と遣らずの雨をこいねがう僕
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僕たちの世界を変えるきっかけはいつも瓦礫の中でうまれる
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「もう八年経つから消えてほしいよね」笑い話にする左腕
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‪気づかれてないと思っていたけれどひとえに君のやさしさだった‬
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ははそはの母のふふますちちふさのあまきにほひのはるかにとほく
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ケンタッキーフライドチキンのテーブルに積まれていく元恋人達の死
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割りすぎて溢れ出したるどろどろの腹を正体とは呼ばないで
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フェルメール色と呼ばれるあの青の絵の具がないときみが塗れない
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