「生きているのが恥ずかしい」と君は泣く 明日の最高気温は1℃
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きらきらの宝石だった体温で溶けるしかない握った氷
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わたしが花を愛でている間に世界がゆっくり滅べばいい
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金髪はやめたよ君が褒めるから どんな色でも綺麗と言えよ
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六年分 思いが詰まった ランドセル 証書を胸に 学び舎を発つ
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今日は君と世界を共有する「誰か」が私になった記念日
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意味の無い横断歩道の信号をまもるくらいには生きる気がある
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最寄り駅 ホームドアへの陽の光で朝が来たこと確かめる家
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ロゼットというスカートを掲揚しのぼる朝日に、弦月顰む
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真昼間の住宅街を縦笛の音だけが行く『喜びの歌』
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歪む視界 意識朦朧 目を閉じる 度数の合わないあなたの眼鏡
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この日まで生きてくための標です このチケットは取らせてください
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話し合わなくてもいいが殺し合う代わりの手段は探さなくては
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せん妄の 只中にいる人たちを 救い出せないのか 立ち尽くす立春
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君の目の色を移せば青空は今よりずっと透き通るはず
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こっそりと絵を描く君に一つだけ新しい色 内緒であげます
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最寄りからタイムマシンに乗れるなら 本能のままに恋した頃へ
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東京は夢と希望でできていて人の努力と不安で光る
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年表に重み感じる凡庸さもってる私は現代いまを生きてる
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目が合えば 胸が鳴るなり 法隆寺 流れで突然の法隆寺
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君が言う「効率的」ってなんだろう 此処に私が居ないことかな
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ここからが春だと澄んだ晴れ空に飛行機雲が境界を引く
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金持ちの手相ではないけれど デニーズのハンバーグには豊かさがある
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濃紺のインクだけでもひっそりと 君のおそばに置かせて下さい
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あなたの家の前のゴミ捨て場には 私の知らないあなたが宿る
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生姜とか食べたら元気になるかしらレバニラよりも焼肉よりも
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おめでとう これでめでたし さようならやっぱり私は春がきらいだ
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うぐいすの声にひかれて窓開けた見晴るかすただそれだけの空
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いたずらに目をくらませていただけの桜の花も散ればうつくし
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難しい言葉を使わなくたって 愛を表現できるはずなのに
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