かんぺきな宇宙をつくる同じガムかんでレモンのキスをするとき
1
「もう!やめて!」 こども扱い 拗ねたふり わざとなんだよ 彼が必要
2
桜月 ああ、暇乞い 名残惜し 思い出語り じゃあね、またね
3
殭屍の御札の下の貌は生きてた頃は優しかったね
1
灰空に光芒差しても進まない逢魔が時の渋滞と雲
2
何もかも自分のせいと考えてみても出口が見えざりにけり
1
別れとは予告なく来た方が良い余命知りつつ生きる苦しさ
23
脳内でしゃべる暇なし貧乏人。災いこれ即福と出まして
1
燦然と 輝く陽射し 凛と受け 白梅告げる ひとつの区切り
3
虫を喰う花が閉じてはくように抱きしめるから別れてくれる?
1
薄明のヴェールに二人包まれて首筋頬寄せ気付く あ、海
1
窓際でお客待つ間に微睡んで夢での君は海の中かな
2
君のゆく未来に風が吹くならば 追い風であれ温かくあれ
44
卒業のあとからのことは訊かないで 中島みゆきのカラオケを聞く
1
雁がねは花の都をたち憂しと雲居のよそに泣きつつぞ行く
2
真夜中に握りあったてのひらにもひとつずつ月を分け合っていた
2
常に今活写するべき情景は目の前にあって零しているだけ
2
朝焼けに鉄塔の影縫ってゆく鳥も気楽に飛んではないよ
5
この肌に夜雨を感じていたいのよ夜は短し歩けよ恋せよ乙女
4
猫の爪みたいと君が言ったこと思い出します春の三日月
14
手紙書く 息子に助言 娘から サンタは外人 カタカナで書け
3
五目ご飯 美味く炊けたか味見して よく分からぬと 茶碗一膳
3
今はとて霞とともにたつ雁の泣きこそわたれ山の端の空
4
春はまた尋ねぞわぶる津の国の生田の森を霞こめたり
4
目の痒みくしゃみ鼻水鼻詰まり頭痛肌荒れ滅びよ杉よ
1
日付見て小首傾げて頷いて「まだいけるわ」と亭主にだけ盛る
2
春色の クッション抱きしめ 立てこもり 蟻さんお前はどこから来たのか
3
弁当とジュースを持って はしゃいでた 息子と今は花見酒
2
あたたかさをお返しした あなたは私のコーヒーを皆にあげた
1
恋心 行き場が無くて 漂いて 川面に浮かぶうたかたと消ゆ
2