理科専の教育学部一年の課題は虫を十五匹だと
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青空と風の吹かない十六番さっきの一打の罪を背負い込む
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孫よりも若き選者を敬仰す九十四の祖父の懐
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戯れに余白で遊ばせた線のように 電線はよく曇天に映える
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「それはまた、嫌な夢を見ましたね」南アルプス 唾として飲む
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曇りでも 風が少し冷たくても 息を一つ吸い込んで おはよう
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何ひとつお互い何も変えないで僕と結婚してみませんか
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絡まった 糸が自然と ほどけてく そんなふに待つ 今はそれだけ
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テレビ消し無音の世界に包まれる Utakataのぞく午前7時
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好きだとかありがとうとかごめんねも 声に出さなきゃ無いのと同じ
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一匹の子猫を拾いてはや五年 家族の中で一番偉し
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空の色毎日違う私もね絶対なんてないと思うよ
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朝方の 乳灰色の 空一つ 孤高のシリウス 輝く季節
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火を眺め鎮まれるのは自らが焚いたからだ 戦線は遠く
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きみの語る海はいつだって においのしない水たまりのこと
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この紐を新潮ならば使おうと思って仕舞うカバーの栞紐スピン
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夢の国 千里ほど歩いたあたりで 日の出の気配 薄い夜空まぶた
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いつも通り周回遅れの筋肉痛 一週間は最長記録か
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よくこれを読もうとしてたものだなと発掘してる積読の底
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明け方より丑三つ寄りのリビングに 昨夜のカレーのふわっと残り香
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母という海を超えゆきいつか知れ人しか人を刺さぬということ
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吐き出した 言葉に埋もれ 動けない もがいて探す 進むべき明日
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縋りつく 勇気もなくて あなたには 「大好きでした」 のラベルを貼る
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最後だと 決めてはじめた はずの恋 曖昧なまま 溶けて消えゆく
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ありがとう こんなにつらくわかれても つよくつよく おぼえているから
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気づいたらADHDのみこんで秋の光を頬に集める
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もう泡になるのはイヤだ叶わない恋ならそうと言っておいてよ
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湯に浮かぶ まぁるいふたつの 膝小僧 そこだけ風邪を 引くのだろうか
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老若男女犬猫赤子の区別なく敬意を持ってひとみしりする
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十二時の魔法が解ける この紙がやらなかったことリストに変わる
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