忠実な無人の部屋の除湿機の僅かな音は無色の羽虫
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つがいたいのにつがえない苦しみは(すまんね想像しかできなくて)
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スーパーの駐車場付近 笑ってるでっかい白い犬らしきもの
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秒針と秒針のあいだに未来がどっと雪崩れ込みいまがやってきた
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九割で私が悪い終焉で 宇多田ヒカルだけに寄り添われてる
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ありがとう ごめんね その繰り返し 聞き飽きた? でもそれしか言えない
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新生児はこれから雲丹を食べる人 はじめてだけが君を待ってる
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しっかりと 娘二人に看取らせて プロデュース力 さすがと泣き笑い
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先生 ゆらゆら燃える火に重さはあるの?恋に重さはあるの?
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羽は生えなかった シルバーリングも持ってないけど 深爪だけしたよ
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晴れた朝 窓には雨露纏ふ緑 母は天に召され給ひぬ
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時代劇に出ない人生を選び取り 地元の本屋で買ったピアッサー
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わたくしが皆に良いねを押す理由わけは高次脳機能障害なので
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古布を切って織り上げ履いている布ぞうりって何故か豊かだ
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意外でしょ?車も金も無いけれどお腹いっぱい食べられている
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「昔はね何でもできた娘なの」それを言ってはだめだよ母さん
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バツ2だし生活保護で障害者ふかーく思うの辞めてみようか
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一人では生きて行けない世の中を作ったやつは誰なんだろう
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本当は私のために来るでなく呆け気味なる母を伺う
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たかが二年 あなたにとっては 短かかろう でも高校生活 ほぼ無くなったのよ
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さよならはあなたが干したユニクロU、最後の証拠を摘み取ります
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しんどくて ただわが猫と眠るが楽しみで そのためだけに寝る支度急ぐ
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菊取りし名馬敬う者たちの声鳴り止まず 更なるかちを
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あの夏に水を求めた魂へ供養の雨が長崎を包む
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背板なきホワイトのカラーボックスのアイデンティティは白いということ
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ホワイトのカラーボックスに朝日差す 白すぎるから色紙を置く
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担任の気配を探す夏休み 教室の水槽きれいになってた
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水槽の底小さきエビ3つウーパールーパーと見つめ合いけり
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今日もまた 重ねてしまった過ちを 撫でてくれる嘘 路上で探す
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熱帯魚と呼ぶには涼し過ぎる水槽ネオン・テトラが青空見てる
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