気付かれず 終わる物語はなしの幾千万 山あいの道 窓の外には
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アホらしい 吾を大切にせぬ吾が誰か 慰めるなど 百年早い
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歩道橋から眺める秩序 乱さぬようにと階段を下る
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峠道 ここそこにある白滝は 山の涙かため息か
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たくさんの美しき人出会いたり 東京にまた帰りたきかな
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年の瀬が誕生月のクーポンは 日用雑貨食料品に
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寒いねと話しかければ寒いねと 答える人の不在を嘆く
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年の瀬の行人の顔見るたびに 己が孤独の現実を知る
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電飾で華やかなりし町をゆく コオトのうらにナイフ忍ばせ
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ウクライナ侵攻の報を見るたびに「台湾有事」も脳裏をよぎる
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かたちだけ大人になった少女たち熟した果実はまだ死を知らず
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見えすぎた思惑溢る箱の中綺麗に生きる吾はもういない
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君のこえ白い音符漂って 霜柱は鳴り冬はつとめて
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街路樹の整形された顔を見てエゴを見出だす僕もエゴイスト
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ひたすらに 「私が嫌い」と震える喉を いぶして抑える 冷気を借りて
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氷雨の中で  湿気しけた煙草を燻らせる  私を知るのは紫煙これだけで良い。
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ドア一つ へだてて心 裏表  会えば笑顔に 悩みは無しに
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マダラぼけ ぼけてるバァバ こえちがう べつのじんかく あらわれたかの /自我がよわまり潜在した意識が
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湯船にて 体全体からだぜんたい 包まれて 今日も1日 お疲れ様と
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ページを捲るようにして歳を経る。時にさっさと、ときにじっくりと
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録画予約 四度確かめ 信じたよ 時間ズレたのよ 録れてて、お願い
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好きな子に ラインを送り 三時間 イタズラをする公式ライン
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この腹の 虫も子宮も 欠陥も 全部トイレへ 流れてしまえ
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忘られたアサガオの鉢軒下に今年の夏が転がっている
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ノートにはてんでバラバラ短歌うた並ぶ 5・7だけとか7・7だけとか
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この人の名前忘れたでも解る!だって知ってる匂いがするもん
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幼子おさなごの笑う写真を見て七度 深呼吸する口角上げて
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いつの間に私の中に棲んでいるあなたが胸の半分以上に
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スマホのカメラロールを繰りながら走馬灯の予告編を見てる
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「好きです」と言うのを少し我慢する厚みが増して「大」が付くまで
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