ぼちぼちと淡淡とただ歌を詠む時時のぞく日に包まれて
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気持ちバラバラに飛び散った丁寧に一欠片ずつ拾い上げよう
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距離感を過たずにはいられぬよう幾度目かの反省しきり
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電車待ち 目には雨粒に見えねども鼻腔くすぐる雨が降りしと
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おめでとう きみの二十歳はたちがいい年になるよう呪いかけました では
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悼みとは遺れるものの慰めで、交わした言葉、届かぬ言葉
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真名まなも知らず逝きてし君のアカウント 凍れる文字は今も定時に
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遠い日に買って買ってと泣いていたそのかなしさを祀る宗教
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対象を把握し尽くす目があればどんな魔物も怖くはないさ
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改めて口にしなくても良いことをわざわざ選んで言葉にして出す
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沈みゆく言葉の澱になずむ夜は ぽつりぽつりと歌を繰り更く
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梅干しにトマトとそれから唐辛子 赤い食べ物に何故か惹かれる
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もう二度と君を抱くことないのだから手の痺れなど放っておくよ
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今もしも地獄の業火で焼かれてもきっと残るよ。首のチタンは
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まるでこの世界のすべてに赦されたみたい いちめん信号は青
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喉にあるボルトが当たってイタイから縄をかけるの止めにしとくよ
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頸椎の五番六番ツナイデマス チタンの金具誰かキスして
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日常はつづいていくと見せかけて急に落ちたらするから真夏
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風呂上がりまで気配を隠す名人か鞄の底の弁当箱てめえ
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ひと並みに驕るあの娘は3股目 一夜一夜に瞳転がす
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日暮道帰るひとみな胸元にスマホの明かりを灯して歩く
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お揃いの歯ブラシ捨ててアパートの 階段登る おもいでひとつ
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怪獣の放射火炎が残る夜の乾いたままのおべんとうばこ
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ネットって楽しい何か検索しそこからユーチューブいっちゃったりして
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疲れ果て温い湯船に浸かろうとせっせと張っていたのはお水
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ぶら歩き 亀の子束子たわしの工場抜け 庚申塚で都電眺める
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賃仕事 心に開いたその穴を 埋めてくれるはフライドポテト
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心にもないことを云い 下げたくもない頭下げ ポタージュを飲む
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図書カード雑に書かれた貴方の名十五年経て私の名前に
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アスファルトを あめんぼがごとく 歩く僕 安心していい 明日は嵐だ
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