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幾度となく殺した男の顔が今 鏡の中で微笑んでいる
1
釣り針に小さなエサをつけている時は器用に見えていた父
10
結婚が五年契約だったなら 二度目の更新はかなり悩むな
7
乳呑み児の指折る音をアラームに 首をもたげる月曜の朝
0
キーボードを時折たたく手の甲の 滑らかなるを飽かず眺めてる
2
時も空もあはひにありて妙となり人のあはひを濃く薄くする
4
転がらず程よく止まる意志を持つ六角形の鉛筆の性
2
雨上り淡青色の星屑をなほ
鏤
(
ちりば
)
むる額あぢさゐかな
1
音の無き時雨に濡れてあぢさゐの淡青の色みづゑとかはる
3
百万のひとごと寄りてひと燃やす 死蝋で正義灯されている
2
雨降って固まる地面もはやなくコンクリートを滑る雨粒
4
生命のみなもと求め探査機は薔薇色のイソギンチャク潜る
6
床下に今夜も死んだ母の這う音が聞こえる安堵して眠る
2
ヒヒヒヒヒ……指名手配犯を見ました。自分で自分を通報してみる。
2
君といた頃伸びた爪を保管した瓶に詰まった甘い思い出
0
天の河逢えずとなれば地の河もと 願う二人か橋よ落ちろと
2
空間も事象も時ももろともに夢にお別れ さらばささらば
3
赤色にかぶりついては種飛ばし 汁付きの手をすする昼過ぎ
1
ビニール傘「そらみたことか 曇天から 君の怨念が降りだしたぞ!」
2
星ほどに 輝き放つ 街の陽は 星より綺麗な 夢で溢れる
2
雨上がり 道路が一息 この匂い いったい何を 食べていたんだ
1
雨は降る、ことごとく降る。窓が濡れていて、食欲はあるけどないな。
0
その日ごと見つけた夜の縁に染み輪郭を取る野菜生活
3
まだ溶けぬ罪の飴玉
口を刺す 二個目
(
チョロい女だ
)
を入れるあなたにすがる
1
君に送る 愛のキャンディー並べながら もう殴らないと君に誓うよ
(
嘘です!この男は嘘をついています!いつだってそう言うのです!
)
4
木の間より青空の色たしかむるうた曜日@ことのはの森
2
さんざめく文字の繁みをかき分けて輪郭の無きことのは拾ふ
4
刃
(
は
)
の切れ味、それと自分は信じられる 不確かな世のすべての
幻
(
まぼろし
)
0
キツネ目の女の
腸
(
わた
)
を切り裂いたナイフの
刃
(
やいば
)
はもう温かい
0
白皙の悪夢がきみを抱くだろう 痣つくる火がぼくの優しさ
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