覆水は盆には返らないけれどまた雨水を貯めればいいよ
3
打ち上げて花よひらけとぱっと散り届かぬ想いとしょっぱい綿飴
1
純白の百合の花で飾られて死にゆくなんて僕の花嫁
0
「もう時間」僕らはこうして別れたんだ互いに笑って「じゃあまたね」って
1
今日の雨天の川へと流し込むそういう装置あったらいいな
4
誰のせい?それはあれだ、夏のせい。草に横たう女の肢体
0
血の垂れる利鎌とがまのような月のせいで 握るナイフに力がこもる
2
若衆わかしゅには狼が憑く道っぱた 村さの夜の儀礼だんべや
1
ムラついた狼男のその気持ち 全なる月見りゃ俺にも分かる
0
尻のような満月のせいで心臓に狼宿る夏のあぜ道
0
善悪のあいまいさこそ耐えきれず放棄する日を悪魔は狙う
5
声殺し君がうなずく姿見て 満足したとシーツに沈む
1
黄昏たそがれに手を振ってくる 目を細め尋ねたる声 それは「かれ
1
日が沈み あなたがいないこの道に未練はないと 毒飲み干して
1
ひぐらしが雲指差し叫ぶよう 秋刀魚さんまの形のあれは秋雲
0
恋人がリアリストなのでわたくしは薔薇の花の花言葉教える
1
集められ 切られ 生けられ 捨てられる かわいいかわいい この花の名は
1
きみが語ることはなんでも楽しそう海の家で出るカツカレーとか
3
溶け残る氷を噛んだ かき氷作るやつどこにしまったっけ?
1
雨水を引っかけて去るタクシーに呪いあれ 今夜眠れなくなれ
1
陸路閉じ まだらに消えた店先たなさきに ごめんなさいが佇んでいる
5
知る道も知らない道も閉ざされて 抉る川辺はカフェオレのよう
4
カーテンの裏側ちいさな目があって夢かと思ったら、夢だった
1
小学生一人がいなくなったぶん わたしの体重減ればいいのに
1
気がつくと もはや夕方 陽も暮れて 僕の気分も沈んでいくの
2
洗濯機まわす晴れたる空の下窓開け放ち風涼やかに
0
やる気ない ない ない 出ない 出てこない 「いいから起きな まずは座りな」
2
凍らせた水を削ってかき氷 残して溶かしてまた凍らせる
1
あかねさす あわく撫でゆく光あれ きみに触れたら気づいてしまう
5
黄昏に鉄線一輪ひそとありくゆるむらさき闇にとけゆく
5