Utakata
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ういろう
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はじめまして。誰に書くともない日記のようなものです。どうぞご笑覧下さい。
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夕立に突如
現
(
あらわ
)
る
湖
(
うみ
)
に立ちそを
掻
(
か
)
き散らす幼子と母
7
参ったな似てもないのに銀幕の女優が君に見えてくるんだ
13
虫除けの
有加利
(
ユーカリ
)
かげば遠き日の公園に鳴く蝉の
音
(
ね
)
がする
19
本当の気持ちを隠したままだから自分で自分が嫌になるのだ
10
もう少しあなたのそばに居たくって用もないのに外なぞを見る
16
幾月も努力重ねた試験終え君がぐっすり眠れますよう
10
まばたきがシャッターならば今ごろは君の写真で埋まるアルバム
20
同輩
(
ともがら
)
の秘めたる思い知りぬればいつもの顔も変わるものなり
10
夕立をその身に受くる少年の母は空見て案じ
居
(
ゐ
)
るらむ
15
幾百里
(
いくひゃくり
)
離れた街に君思う道
行
(
ゆ
)
く人に影重ねつつ
12
昼過ぎて夕来にけらし
白妙
(
しろたへ
)
の
衣
(
ころも
)
取り込む
婆
(
ばば
)
の
軽業
(
かるわざ
)
12
牧之原
(
まきのはら
)
にうちいでて見れば茶畑のみどりは今朝の露にぬれつつ
7
はこねぢを越ゆれど野には
霞
(
かすみ
)
たつ富士の
高嶺
(
たかね
)
を見るよしもがな―新幹線
7
人もなき
夜半
(
よわ
)
にも散るらむ桜花月と星とを証人として
13
散る花を吹く風よりも穏やかにその樹のもとで君は微笑む
8
いらないと言われるだろうと思うけど君にきれいな花をあげたい
12
可愛らしい看護師さんが測るから献血したのに上がる血圧
9
おふくろの味をもとめて定食屋覗けばすでに男が二人
11
見送りの母を抱きしむその細き胴に
廻
(
まわ
)
したわが手余りぬ
8
ほらここに君のためなら何だってしようと思う男が一人
9
将来にまだ夢見てる人たちが語らいながら道路を渡る
9
君のみた映画を一人で見に行った自分が少し嫌になる晩
9
あの夜の月をおもひて煙草のむ煙とべとべ君の街まで
8
寂しさを認められずにひとりきり闘っていた僕はバカだね
7
眉下を剃りあげてくれるおばちゃんも床屋を出れば誰かの母で
11
トニックを力一杯拭き上げる店主無口だいつもの床屋
7
里おりて街に来たれば初梅の雪に代はりて我を迎へる
13
遠からず母となるらむ乙女たち友と連れ立ち軽やかに行く
10
カップルの居並ぶ街を歩く日は売れ残ったフライの気分
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愛を説くバレンタインデーの日も通勤電車に一人揺られて
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