みささぎのほとりも人はなかりけり花には早きみ吉野の春
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別れ際触れた手先の冷たさを思いつ君の背に謝りぬ 
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姑がインターネット始めたわSNSに鍵かけなけりゃ
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旅立ちの子の荷造りに口を出す最後まで我くそばばとなる
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スーパーで不意打ち流る涙ありここの唐揚げ子が好きだった
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トーストの焼けた香りも香ばしく 溶けるバターは黄金色して
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休日の朝に味わうコーヒーは 香りも味も 一味違って
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どこまでも行けば行けるがかた雪を朝日に光る今のうちなら
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継母もお母さんとは呼べたのに未だトリートメントと呼べず
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女房の母の名前はキヨちやんで何時でもあははと笑ってをりし
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買い物に出ること多くスーパーのレジに並びて待つにも慣れぬ  
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しくじりを隠そうとして阻害するそうやってバレていくんだって
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母の手をぎゅうっと握る幼子の迷いなき目を信頼と呼ぶ
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短歌にはできない気持ちもありますよどこに吐き出したらいいんでしょう
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テレパシー 送ってみたわ 助手席で 帰りたくない 一緒にいたい
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曲がり角 手を振り返す 見送りも まもなく最後 卒業式だ
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同時着 多望な希望 夢ばかり 出来ることから メール送信
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香ばしい猫抱きしめて、あぁやっと今日のあれこれ溢していいね
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笑っててくれるだけでも幸せと思ってたはずなのに、しくった
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潤むと真一文字の唇の三・一一けふといふ日を背負ひし侍
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影絵して急須を映し外へ出て星座見上げた震災の夜
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おひたしにするはずだった菜の花が最期の時を謳歌している
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君ごときのために吐き出す歌なんか一首たりともないわ くたばれ
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まぁちゃんがスティディだったあの頃のフォークばっかり歌うカラオケ
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備えよう思って過ぎた十二年「今年こそは」と毎年思う。
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春の陽のつんと鼻腔に香ばしさ  戻れや戻れ 春の死にたさ
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一日中眠って起きてまた眠るチョコパイ食べてまた眠り込む
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まどろんで200ページを読み終えたそれにつけても金の欲しさよ
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この季節の常温では牛乳が痛むそれにつけても金の欲しさよ
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切り離された この電車とあの電車とが また繋がるのは いつのことか
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