‪のんあるで酔ったふりした横目では君の口元ばかり見ていた‬
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窮屈でパズルみたいだ断面がかしこまってる鯖水煮缶
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「大人でも泣きたいときはあるんだよ」「うんうん」と聴いてくれる掛け布団
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ハルジオンのたくさん伸びた草原でいつもさよならだけ覚えてる
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プロペラを回せよ回せ立川の風 銅像の飛行機とばせ
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天井と秒針だけの生活に勿忘草と名前をつける
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友達と 歩幅が違う 少しずつ 差がひらいてく 追いつけないよ
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火をつけて お風呂をわかす 今の子が 聞いたら首を かしげるだろう
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恐ろしい父さん「十秒で何もかも忘れる」と怒るそれだけ覚えぬ
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‪さっきから何しているの深呼吸きみのまわりがパワースポット‬
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‪手を繋ぎどこまでもゆけ赤い糸今夜限りでちぎれていても‬
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‪腹筋に力を入れて読んでいくこれは「私の」ではない感情‬
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ラブラブラブラブラブラブ ラブラドール・レトリーバーの毛並みのように
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‪かあさまの子どもの頃に描いた絵は私に似てるあれは予言書‬
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‪たいていのことは遺伝で決まるけどわたしにとってきみはかわいい‬
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好きな人 目で追う君に 好きですと 言えるわけない それはできない
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恋をした 乙女の心 傷つけず 綺麗な花を 開花させたい
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夏埜日々  夏の日々直射日光浴びながら 階段に座り「平家物語」読む
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子供らの喜び駆ける砂浜を「おとな」を背負えば走れざりけり
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海なんて見ずとも生きていけるけど死ぬにはそれが要るから行こう
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さらば夏 湯船の縁に並んでるサンダル履いてるみたいな日焼け
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「おはよう」を交わせなかった教室で僕は幽霊だったのかもな
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今日もまた美しいものを創ろうよ 世界がずっと続くと信じて
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カーテンの一枚向こう初夏の風猫は午睡を私は酒を
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寝静まる街の底より見上げては祈りを託す星の目を見て
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もう少し夜風の中を歩こうよ今日で全てが終わるかもだし
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世界中震え恐れる幾月か二度とは会えぬ君尚遠し
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てすさびの相手と知りて食べかけのアイスクリーム溶け始めている
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この恋の終わりをふいに考えるなんにも見えぬ吾は乙女なり
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貝殻の中にこもっているような君と吾だけの息する小部屋
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