何ひとつ渡さず生きることだけが私に選べた愛だったこと
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3年も毎日背負ったノースフェイス傷数えたらもうちょっと春
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さよならは両手に包み持ち帰るどいつもこいつも影をのばして
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古桜大木見上げ想い馳せ江戸の暮らしを見届けた主
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私たち爪もないのに傷つけて他人事の猫ごめん寝してる
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四分咲きになったばかりに花びらがもう散っている散歩路のうえ
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懐メロを聴いては思う彼女らはいいばあちゃんになってるだろか
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君からの返事がこない夜に抱くねこの体は意外とのびる
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唇で君と交わしたサヨナラが朝の光にそっととけてく
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ひさかたの光 装ひ艶やかに やはらかなりし 木蓮の群れ
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この街の十三度目の桜 咲く (大事なものも守れてないのに)
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2時3時 暖かいなと 4時5時 涼しいと言うか? 肌寒い今
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素うどんにコロッケ乗せる食べ方を教えてくれた君はいなくて
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カタカナ名に 連日慣れて 高校野球は 漢字ばかり ここは中国?
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五十路でも 思い出す顔 あの夏の 17歳の 日焼けしたキミ
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地獄だと自覚があるだけ褒めてよ。生きてるだけで大惨事でしょ。
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冷めたら汚物のように捨てるだろ。マンホールの奥暗がりまで。
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スキなとこ め・こえ・ホクロ クシャ笑顔 太陽だったよ わたしのヒーロー
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しなければいけないことをしなければ。してしまおうとおもう日曜
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ありがとう ごめんなさいと さようなら 伝えられずに 30年たつ
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痰を吐く 夜の戦い 続くなか 慢性眠い 痩せる原因
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甘くない この世のすべて 永遠に 蒔いたものから 刈り取ることに
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人生は 束の間だから 適当と 思っていれば えらい誤り
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福寿草まだ見ぬ春に顔を出し春の足音黄色い予感
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終わりなし この人生に 終わりなし 死など一瞬 終わりじゃないよ
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今日もまた いつもと違う 一日に なれと願えど ならないようだ
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年を取り 痩せこけてゆく この体 骨の重みに 耐え切れないと
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街は皆 寒色系の人なれど ひとめでわかる みかん色のカレ
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つるつるのスマホスクリーンの砂漠から、泉のありかを知らせに行くぞ
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安心と安全便利に囲われて、もう涙すらない乾いた大地
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