Utakata
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靄
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もや
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もうそれで開く扉の無い鍵を両手に握りしめる被災児
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タグはまだ外せてないよキミが昨日遊びの約束断ったから
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左右左と指示器ちらつかす若葉マークのフォルクスワーゲン
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ピッチャーの網目を通り抜けてきたちびちゃい氷のいるプラコップ
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駆け込めば乗れそうだけど迷惑だし座れなそうだしアルバイトだし
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4πr2が猫の表面積(ただしこたつの内部に限り)
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爪とぎの板に残った抜け殻を服につけ往く都会児の夏
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「結婚は人生の墓場」笑うきみ 路傍で野垂れ死んでるわたし
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しゃししゅしぇしょの「し」を打ち込むときにだけ無賃労働するHキー
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コンテナに隙間なく詰め込めるので雪の結晶やさんは黒字
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右のてのひらと左のてのひらを貼り合わせ蚊を殺して拭う
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ドッグイヤー折る君を見てノンブルやスピンに少し同情したり
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ラーメンのもやしにしがみついている頼りなさげな栄養素たち
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窓ガラスしたたる露を滝行の如き思いで拭い去る朝
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疼痛のソナーが闇に溶けかけた我が実存を保証する夜
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ワイシャツに腕を通すと急速に冷やされていく 冬の朝 肌
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噛む爪がなくなる事にストレスを感じてめくる指の薄皮
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現世を漂流しつつ忘れぬ様手首に刻む生きた日にちを
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眼窩から零れる汁を海水にたとふることに踏んだ二の足
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飢えている獏へと餌をやる為に或いは疲れを取る為ねむる
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真夜中の信号を無視できぬのは前世で神に絆されたから
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真っ先に退化するのは左手の薬指あるいは尾骶骨
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キッチンのゆかに落とした糖衣錠あしのうらにも味蕾があれば
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マニキュアが塗られていない根元だけ自分の爪と確信する夜
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変顔や欠伸をしても許される密室が口の周りにだけは
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ゆうれいの正体見たら重湯しか飲めぬ身体になった八月
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目に見えないものが見えると言う前に目に見えるもの全てを見ろ馬鹿
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肋骨が折れてよかった曇天の少しずつ降りてくる日だから
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仕舞ってた傘を頭上で開くとき降り注ぐおばけの骨や歯や
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「アマレット」名前までそんなのだから牛乳で割られたりするのだ
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