うれしくてあなたに会えた夢のあとふとんの上では素直なのね
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お姫様のようなレースのブラウスが この世を生きてく勇気をくれる
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マイスリーを ウォッカのロックで 流し込む 明日はもう OD過剰摂取しかない
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駆け出した背には届かぬ指先をきゅっと丸めて仕舞うポケット
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暁の窓の無数の露にない暗い絆を求めて止まぬ
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溶け気味のラムレーズンを食べながら硝子戸叩く雪を観る吾
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初体験おせちも買わず誰れも来ず犬と分けようすき焼きの肉
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歳が明け会えない人にスタンプを返事待ちつつ今年始まる
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有ることも無かったように決めていく誤魔化しの疑問符不器用に
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一月の月の灯りは清らかで雲には乗れないことを忘れる
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振り向かぬ人追いかけて月光の落とす影から一人佇む
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似ておりし蕾かたしや冬の花ひとり耐え入る我が心中
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今すぐに きれいな空気の粒になり 君の近くに 飛んで行けたら
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花々を重ね合わせて君笑ふ 夜の帳は引き裂かせない
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「秘密だよ」みんなに言っているんだろ? わかっていても跳ねる心臓
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降り積もる雪を見渡し寒いねと微笑む君の瞳あたたか
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君はただ君を肯定すれば良い空色のシャツ着ずとも跳べる
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焼きそばの焦げた香りが階下から知らせに来たね正月終了
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瞬きをする音さえも聞こえそう今年初めて顔見ただけで
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半額のワゴンにあって初めて手に取るいつかのチャリティアルバム
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生きたまま埋められる人の上では桜吹雪がつよくつよくて
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きょういれてあとふつかの休みだなんて 2021暦のいじわる
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ひたひたと注ぎすぎてもいいのです 溺れさせる力はないので
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詠みきれぬ感情全て背負わせた「猫」が遠くでにゃあとないたか
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タコ焼きの一口目は熱くって一家そろってハフハフしてる
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祝うべき 正月早々 暗い歌を 独り詠んでる 自分がイヤだ
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コロナ渦で さんざんな年と 言うけれど 僕は毎年 さんざんな年
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詰まる所 歌は詠めても 読めません 障がい者になった 友の心は
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人の声せぬ正月はおとなしく手酌で旨い日本酒を呑む
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左手の下で大きく瞬いた君の両目は冬のシリウス
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