Utakata
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きみがいたスペース未だ飽和して五音とセージのラストノートが
1
嘆けけども 春はまた来る 酷薄を
寒緋桜
(
カンヒザクラ
)
の 夜映ゆに見し
1
やりがちな母の失敗目をつむる 灯油まいても犬逃がしても
2
なけなしの 思ひで箱を さらつては 愚鈍の痛みに 項垂れてをり
0
悩みって小さいものです だってほら、薄くて狭い。私は大きい
3
家を出るつもりで入れたコンタクト 昼過ぎ外し、よそ行きを脱ぐ
2
肉体の数だけ私が絶対に行くことのできない場所がある
2
雪霞 夢はうつつで春近しこんな季節にさよならするの
9
面白い事は自分で決めたいの 自由くらいは欲しいですから
6
壁紙に画鋲ケーキに蝋燭を刺す役降りる世界は変えない
0
プリズムのごと心こそ分けられず全色混じりの
●
(
黒丸
)
の臓
0
エアコンが喉の奥までかわかして さよならだけが言えなくなった
2
空覆う 星の数ほど ありふれた 遠い私を ラジオが語る
4
さらば世と 表通りの アマガエル 一人静かに 闇に飛び込む
2
我先と競うものでもないでしょう笑っていても春は来るのに
16
想い出を手繰り寄せてる誕生日祖父の目尻に歴史流れて
5
息白く空に舞う雪ひらひらとわたしの肩にそっと降りたつ
6
ポソポソで不味くはない。 家庭科で女子が作ったぼんやりクッキー
0
真夜中のホットミルクよ願わくば闇に陥る思想をとめて
5
「寂しい」もすぐに忘れて生きていく ふと振り向けば春の匂いで
2
「西側のベランダ付近にありました」 白無地タオルの居場所を求む
1
在る星の、ただそれだけの美しさ。繋ぐ術すら知らぬ僕にも
2
死んだから 初めて気づくホクロ、傷 もっと早くに気づきたかった
1
誰彼の 思ひ出一つ分け合って 怖し苦しで語れずに 間に浮いた二つの想い
0
泣きじゃくる 2人の今までなぞらえて 誰も分かると、言えなくて 孤独分けあう春の夜かな
0
今日死んだ蜉蝣の数 あなたしか知らない言葉の消えてゆく数
3
目が合ったその一瞬の窒息感 首にかかった手は恋だろう
7
あの日きみを待ち続けた日の雪はまだ止まずに僕の心に積もる
0
さびしさと同じ歩幅で歩いてく なくしていったものたちのため
4
ねえ聞いて会いに行くから待っててね今も息する世界のどこか
0
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