此の種のつぶやき聴かむてのひらに種になりたき人のつぶやき
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ひとつぶの種は地中に眠りそむ目覚めのときを時計にしまひ
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深く暗く眠りのまなかの陰翳に夢みる種と死にする種と
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双葉より未来を覗きみたきゆゑ食ひ読み眠り詠み旅をする
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映画観てコーラを飲んだ頭打ち君の膵臓空いた缶カラ
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紫陽花を見に行きましょう今日こそは霧が露へと変わる瞬間
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彼の手が電源灯す瞬間にわれは生まれた "Hello, World!"
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ミルクティー飲み干したあと無個性のタピオカひとつ咀嚼していた
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故郷ふるさとミンミンゼミが鳴いている ジャニーズポスター姉のいた部屋
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思いつき一度寝かせて吟味をし詠んでは直し楽しい短歌
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指先で三十秒で作ってるファストフードみたいな短歌を
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間違ったファイル、間違った手順を踏んでここまで来たのに
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こころにエモさを見つけられないから食パンはもう食べられない
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今ここに過去も未来もなにもなく今、今、今と今が在るだけ
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シャンプーを変えたこと気づいてよね 望みはひとつそれだけでいい 
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もう少し  終わらないでと泣いている 君の横顔静かに撫でる
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貴方との思い出の品は捨てたけど香りや記憶はどうしましょうか
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レッカーに引かれる車の後輪の回転を見る出勤の道
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少しづつほんの少しづつ秋めいていつしか雲が高くなりゆく
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花紅葉うつれるごとに奥底の流るるものの精あらはるる
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変はることを諦めてゐる心など知らぬまま来る花も紅葉も
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白き風へゆだぬることを諭されて一ひら一ひら葉を手放さむ
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漂ひて水よりうまれ来し人はうつろひの季をいざよひてをり
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八月の三十八度の恋に落ち 何色のベンザ飲んだらいいの
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携帯の電池が残り少しですそれをかまわず使う贅沢(家)
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しばらくは彼女とよんでよさそうだ一枚くれたコーヒーチケット
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ポイ捨てを解禁しよう見境なくそしたらいつか俺も世界を
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乗客を線路の上へ転がして進んでいきたい終点まで
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憂鬱ユーウツ幽霊ユーレイのため息のこと 泣けない夜はまたきみに逢う
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まじないはすべてのおわりとはじまりをひらりほどいて花とちるらむ
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