忘れ雪温泉の中君恋ゆる隣人と我眼を見合わせむ
3
したくもない自慰 読みたくもない漫画 いっそ焦りも消えればいいのに
1
忙しい! 頑張る心も 亡くなった 「心亡」こころなくすを 「忙」いそがしいと云ふ
4
忘れたい! 思う心も 亡くなった 「心亡」こころなくすを 「忘」わすると云ふのだ
3
傷口を わざわざさらす 理由はない だからわたしは 口を閉ざすわ
0
通路脇ベンチ菓子パン食べる夜 品川駅とひとつになれる
1
自由律短歌を何首 詠んだとて 自由になれたためしなどない
3
石たちを見つめる君のの色に溶け合う石で指を飾ろう
0
僕だけが いない街です 僕だけが ただ僕だけが いない街です
0
ごろごろと茹でた卵を取り出して握り潰してしまいたい夜
0
ひんやりと電車の音が突き刺さる 僕はまだ息を止められない
0
ふわふわでほんわかしててすべすべですうすうしながらしゅわしゅわなきみ
1
魂を 自らの手で 研磨して 濡れて輝く 悲しきダイヤ
1
あまりにも まぶしくひかり つぶれた目 故に呼ばれる “恋は盲目”
0
本当の自分ではないはずなのににせの自分を脱げなくなった
3
偶然に会えるの期待し自転車で走る夕刻あの娘ん家
0
沈黙が 風が通りすぎてゆく おそらくもっと、大事なものも
0
一緒だとなんだか胸がいっぱいなんだ  チーズケーキ、ひと口ちょうだい
0
カーストの てっぺんにいるやつらには そもそも下など見えてはいない
0
短歌短歌詠めぬ鍛高なんだっけそういやどこに隠した酒は
0
「つまり君、そういうやつだ」真似するのだいたい友達ルロイ神父と
0
ピラミッドなかに描かれたガチョウ達卵はだれが温めるのか
0
空色の 石を眺めて 僕はせめて 遠くの君の 無事を願うよ
0
栞など 使わないなと思ってた 大人になるって すこしさみしい
0
このスマホ もちろんロックはかけてある だがお前なら 開けるかもな
0
図書館の返却期限を迎えても 読みきれない本、俺の無力さ
0
閉ざされた 無垢な善意に 潰されて 押し花にすら なれない枯れ木
1
生きよう、と 言ってくれても 最後まで 止血をしてはくれないくせに
1
もうだめだ 逝こうと決めて その淵に 立つが光に呼び戻されて
0
すっぴんで いていいですよ と許される場所など結局 ないのだろうが
0