何もなく何もせずまた何ものでもなき個体への青白き夜
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あまたなる青にこころを見透かされ遠く深く濃く見返してゐる
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とけあふこと無き青ゆゑに潔く水平線に世界を分かつ
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ハッカ飴 缶の深底みそこに固まりて白く切なき闇となりぬる
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視聴覚味覚嗅覚各器官百合の間に挟まりたい
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そろそろと降りつむ黴に傘閉じて 優しき病膏肓に入る
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なにもかも母の耳にはつつぬけだ好きなAV女優の名さえ
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嘘らしく漂白されたひとごとに月夜が灯り纏うしがらみ
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爆発の勢いなるに吹き溜まりわれら三十周辺男子
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ふさがりて雑想四方に飛び散らん我が雑事板よふざけるなかれ
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かぐわしき苔と美女なる相関性今日とて『みだれ髪』持ち歩く
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世界中みんなが泣いてただ泣いて涙の海でみんな溺れろ
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なんでなの 大事なことは忘れるし余計なことは覚えているの
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今まさにまっさらさらになりました黒酢を飲んでタバコは辞めたぜ
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あんなにも役に立たない男って単一電池くらいのものよ
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いま星が終わる音したてのひらに錆釘五本突き立てて待つ
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怒り肩の人右肩上がりの人腕組みの人歩行者天国
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あんなにもきつい注射の後なのにまっすぐ歩く人ばかりなり
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みづ色の氷のうかぶ南極をおしへてくるるハツカ飴かな
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「死にたいと」思ってからが人生の醍醐味なのだと思いませんか
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耐えているみたいな顔の男から目をそらす、また見る、耐えている
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台風は少し東へそれたのか風の音せぬわが居る部屋は
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付き合いの都合で努力して褒めるたび魂の座る場所が削れる
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神々しいほどの不変と見えながら離れつづけている月と地と
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アスファルトのうえに薄膜の海がある 裸足で歩けば雨があたたかい
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リラ去りて乙女椿も去りていま青空に夏緑の湧き上がる
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臓腑からおきに焼かれをる真昼の満月はまぼろし私の声も
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庭に一つ朱のガーベラが咲き出でて長き夢へと誘ふ午後二時
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瑠璃茉莉るりまつりみづ色の夏は留まらぬハーバリウムの壜もちきても
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水やりに小さき虹の立てる庭あはきあを葉の田舎へつづく
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