圧倒的多数派であるこのせいもわたしが生きる唯一のせい
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ま白なる波かぜはこぶ虚空にて秋津の翅は幻を継ぐ
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夜と朝の闇と光をとほり来る音のなき青のニルヴァーナかな
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壊るるもしたたかにまた編みそむる儚きゆゑの銀の蜘蛛の巣
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あるときは 女と男 またのひは 女と女 男と男
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チャイムが鳴る美醜を問わずうじゃうじゃとトイレを目指す協力プレイ
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まだなにも言ってないからもう少し深夜のコンビニエンスストア
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いつまでも一緒にいれるわけじゃない 知ってたんだよゆるい幸せ
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なんとなく灯りを消した部屋の隅 今朝にがしたクモはどうしてるだろう
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焼肉のたれに全てを一任し実生活は続く 今日も
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冷蔵庫に茄子の煮びたし眠らせる薩摩切子の青が染みいる
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「まいったな」「どうしたもんか」「こまったな」「それにしてもな」「あれはないよな」
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幸福な適応さえも儘ならぬ薬品漬けの豚は何処いずこ
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台所だいどこ枸櫞くえんの精をまとわせて 所帯の澱はさわやかに散る
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袈裟がけに意味の臓腑を詠み捨てて 京の河原にこうべ供える
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『国富論』読みつつ思うは「我富論」朝のぼらけの眠気をこらえて
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信ずることなにもできずに全形を喪ふゆふべ月と檸檬と
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此ののちも億光年の風を聴く石の在りかた心にしまふ
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吸ひて吐き息をして知る秘密ゆゑ森も浜辺も精霊の国
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支払いを終えたら外の強風がおさまって、いや、おさまってない
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実家にて認知症なる老犬のお襁褓姿にただ落涙す
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何となくそこが海だというだけで 肋骨が開く心持ちする
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どのようなことも可能と言い切るか風のように舞い塵と消えたアイドル
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『ハムレット』芥川賞欲しかった人新たに化けてはさぞ美しかりや
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吾子見上げ つられて余花のひかりたる あおあおあお 今盛りなり
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深入りのコーヒーミルク絡ませて今日一日分の疲弊を舐める
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夏の雨 黄色い花火が 「見てくれ」と 独り寂しく 叫んで光る
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純粋な愛と信念 実直さ 近づくべからず こんなわたしが
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締め切りがせまると別の誘惑がせまる私はマゾなのかしら
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太巻きを買った貴方とさばコンビ 僕は水煮の缶詰食べる
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