君のため羊を数えて夜を明かす役に立たない僕を許して
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生温い風が頭皮をすり抜ける  いい子いい子と誰かが慰む
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瓶詰めにしていた恋がひっそりと腐ってました残念でした
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君の吐く息がふわっと白くって、だから、えっとね、あのね。好きです。
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泥臭く戦える女でいたい セーラームーン世代なもので
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僕の身は ちっぽけなので 涙とか 愛だとか、すぐあふれてしまう
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CDの売り場眼に入(い)る「オフコースミリエアム」のみ 十年聞き惚れ
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あの頃は目が合うだけでよかったし先に逸らせば勝ちだったのに
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あの人の墓前の土に芽吹きたい 時折降る雨だけで生きたい
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春風も二人も絶えることはなく世界が終わるなら今日だなあ
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身のうちに 飢えるこどもを 眠らせむと 雨の夜中に 牛乳を飲み
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愛というフィクションなどを信じましょ人には言えぬ悪いことして
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気付けないものでは知り得ないもっと形式的な愛もください
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(多分だけど)違う。あたしの持つ貌と君の見ている私の顔は
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疑いを、視覚で得るものの全てを、口から滑り出る言葉らを
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新鮮なフルーツタルトは神ですが、われの正義は豆寒天に在り
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つるつるの爪を粗く研ぎ直す 明日は卒業式だから
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生ぬるい雨の匂いと梅の花 役目を終えてほたりと落ちる
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これまでに触れたすべてのものよりも指先こそが遠かったのだ
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ひとりにて我風呂つくる夕餉かな 味噌汁のなか泳ぐ三月
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あの笛を 買ってとねだる 娘(こ)をみれば  その指先に 翁草笛を吹く
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愛情に飢えたケモノがここにいます。憐みを与えないでください。
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土手沿いの夕焼け小焼けの帰り道君の吹く口笛きいていた
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I amを仮定して境目をなぞるこれを私の文学とする
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かのひとの残したように限りある鱗を剥がすよに歌を詠み
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悩みとか心配事は転がそう  三角定規のお山の上から
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波風に 巻き立つ砂は 忘れゆくなにかのかどを 削り流れる
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君という 大きな槌に 叩かれて 僕はどんどん 澄んでしまうの
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心臓を蹴り飛ばすみたいなキスで今すぐ夢を終わらせてくれ
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忘れ雪温泉の中君恋ゆる隣人と我眼を見合わせむ
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