嗚呼僕は歌わないではいられない 向こうへ行ける そんな気がする
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平成の夏の終はりを告げたるは秋の御空に伸ぶ曼珠沙華
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溺れそうに続く雨夜の屋根の音を星の果汁と思って眠ろう
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ストロングゼロ文学とかいいバイブスですけど正直甘味強過ぎ
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あたしにはもうともだちはいないよと私に言えるお前のメンタル
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普通誰でも野球かワールドカップ好き、なんて思い込まれちゃたまんねえよな。
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裏道より切れぎれ歌わるる『なごり雪』酔人行くらし夏至の夜半に
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君のその どうしようもない うかつさも まとめて私が愛してあげる
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カタコトと電車に揺られ本を読む ふと気がつくとそこは終点
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今のねえこの瞬間が最高と思えた記録更新したい
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この世とて所詮デプロイ七人日にんじつ アップデートの願う甲斐無し
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ばあちゃんが作ってくれる味噌汁は葱とわかめとまあるい豆腐
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ああやっと夏が終わるのではなくて いのちが終わる 君のせいだよ
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名残なごりとは胸しぼられる重さなく道端の一葉ひとはさやれる音か
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非日常 財布も緩むその隙に喜びもあり哀しみもある
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黄昏の秋の河原は芋炊きの香を運び薄が揺れる
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一日をとじる芙蓉の白のなか秘密をしまふ秘かにしまふ
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ベランダに転がる蝉は生活の一部になりたかったのかしら
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八月もようやく終わりと言いつつも「暑いですね」はあいも変わらず
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弓手とも馬手ともつかぬ鈍腕なまうで不動明王アチャラナータに帰依をためらう
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夏夏夏、秋、夏、秋の色調差、哭ぶコオロギ、熱帯夜、風
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予め「そんなつもりはなかった」と言うつもりなら有っただろうか
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もの憂さと潮解性のまどろみと久遠の青にはこばれてゆく
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草の波およぐ黄金の風となりささめきわたる色取月へ
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あたたかき色のささめき西に立ち森も草木も約束のなか
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土色の器にあそぶ秋草の遠き日をよぶ風のたゆたひ
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いじましき会話の無為が尽くされる4000円の呑み会に出る
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コーヒーを絶って何とか一週間 誘惑に負け今飲んでいる
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少年のような少女に恋をして未知の遊びをおぼえたあの日
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オリーブのあぶらのやうなかなしみに茄子をひたせばにほひ立つ紺
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