肉体が邪魔なのはまあそうとして意識は残したいんだろうか
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桔梗挿す花器は静かに受け入れて茜さす夕 美の確かさよ
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右脚に迷子が絡まり名駅の巨像ははるか頭上をなでる
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どんとこい どんなもんでも やって来い 受け止めてやる へこたれるなよ
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強くなれ 他人を支える 大きさと 懐深さ 愛情深さ
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強くなれ 悲しみを捨て 憂さも晴れ 笑ってしまえ 大きく包め
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強くなれ 己に負けず 貫徹し 他人にも負けず 大きく包め
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単身のきざ みは長く持て余すもっと作れた君との時間
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「目を閉じてそこにいてね、やくそくね」柿の花たちのきゃらきゃら笑う
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捨て猫の子恋ゆるただ親猫の涙乾いた白い塩粒
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目を覚まし壊すゆびさき壊す時計 壊れたぼくを直すしずけさ
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ゆめをみる遠いきおくのなか呻くあわく夢見しけだものの道
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頼らずにみずから肌を灼かれよう健康そうと理由をつけ
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好まない映画と私あぁ不憫なにを迷って揺れているのか
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さきに寝る横顔ふいにほころんで安心させる年月眺むる
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簡単に物に戻ってしまうからささやき続けないといけない
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女だという悦びの染みた身によりなじみゆくシャネルの五番
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哀愁の霖雨に被弾しつづけてそれでも黙している紫陽花
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久々に対飲すればいつもより父の目尻の皺が深まる
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夏休み 煩さに耳 すくめた俺が 蝉の短命に 憧れている
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感情の 海へつからば 日々防水 レインコートと 傘じゃ足らない
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もうきっと詠めない歌が過去そこにあり 触れられぬのにぼんやり光る
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明日は死ぬ だから何だよ 今日を生き さよならなどは 言わなくてよし
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強くなれ 生きるのだから 荒波も 楽しき遊び 戯れのよう
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恐れるに 足らぬ相手に 慄きて 逃げるようでは 男にあらず
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暗闇を 恐れていては 燭台に 火を灯すのも できぬのだから
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日が昇り 人々は生き 風が吹く 星は輝き 月冴えわたる
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犬は吠え 鳥はさえずり 蛙鳴く 人は呟き 大声で泣く
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美しき 歌など今は 目指すまい 真実語り 魂注ぐ
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仕方なし ジョギングするか アレルギー 原因はただ 運動不足
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