紫陽花は雨を愛する花だから包み込んでよ雲も涙も
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てりつける蒼き光のスーパーカー 現在時速は35キロ
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水入れたコップに挿せば花ひらくそんな言葉を君にかけたい
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いやだから設計図があったにしてはぐちゃぐちゃすぎる世界だろこれ
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ぬき足でてんとう虫の歩む音 白紫陽花に歓迎されて
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跨ったサドルに雨の合間の陽 小さな太陽ごと漕いでゆく
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君が飲むコーヒーにだけ入れたくて ガムシロップと「好き」とかいうの
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しづかなる大蛇の瞳 夢に見た 遺跡にひとり 住んでいる主
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胸膨らむ 三千グラムの子の目方 期待と乳に膨れをるらむ
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蒸し暑いほどの空気と体温を持て余してる もう金曜日
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AM2:00ダブルベッドで涙する吾を知るのは冷蔵庫のみ
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道端に霧雨霞んでドクダミとチガヤの白が眩しくて今
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蓋然性でしか語れぬ「現実」は根拠なき「真実」に勝てない
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ラジオから流れる天気予報「雨」修行出るなら今しかないか
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悲しみや悔しさ溜まる傷口は君偲ぶたび開いて零れる
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神様もきょうは赦してくれるよね二十六時のアナログ時計
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たった今死んでもいいと思う時一番生きてる意味を感じる
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厄災が起きたら猫と通帳と聖書と手紙を持って逃げよう
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今などはどこにもなくて過去だけが足の先から蓄積される
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言葉では到底表しきれません頭を開けて脳みそを見て
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まだそこで微睡み続けているんだねミニチュアの事故現場の五月
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右手には祈りを頬には親愛を左鼠蹊部に喝采を
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「おやすみ」と 真珠袋に包まれる あなたの指が 解く夜明けまで
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教室の窓 晴天に稲妻が 今木星は 嵐なのだろう
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ライブラリ 心に沿わぬ歌ばかり 開いて閉じる 朝の憂鬱
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くもり空 時折り差込む 光のように 君が笑う その時がすべて
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シャツの袖 たくしあげた 小麦色 ずっとずっと 生きていてね
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梅雨冷えやポタリポタリと東風の勢(せい)一粒ずつ雨粒落とす
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経験は 活かしてなんぼ 認めずば 無駄な人生 認めることに
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年老いて 歩くことすら 億劫に なりて我が身は 消えゆく程に
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