まっすぐには雨は降らない酔っぱらいの足どりみたく傘を湿らす
2
コーヒーを初めて飲んだ思春期に苦笑いとか自然にできた
3
雨粒の音で掻き消せ、いなくなれ 「君がほんとに大好きでした」
6
嘆きつつ 一人寝た夜の翌朝は ピローケースに夢魔の爪痕
1
白い雲 潮の匂いと 蝉の声 最後となれば 全て愛しき
3
遥かなる シオンを思い 祈ります 御霊よ我に 触れてください
1
ささやかな 幸せいつも くれるから 道路に落ちる 影らはふたつ
2
目ざめれば 君の名残りが 漏れつたう 朝日に透ける 肌よ哀しき
1
梅雨に濡れ 肌に張り付く 白シャツに 色香ただよふ 新卒OL
1
雨の夜に雨を詠むのは陳腐だと そんな感覚どこで買ったの
2
隙を見て濃いめに作ったカルピスの甘美な味と安いしあわせ
3
さらさらり吾が耳裏を滑りゆく雨音数えてうつつうたた寝
1
雨乞いを拒みし人への純真な啓示としての梅雨のまにまに
1
靴擦れを起こした時に湧いて出る痛み思い出すきらいな女
9
ありがちな世界の終わりに拗ねてもさもったいないよ あと十五秒
1
海のない夜風の街の人々のうつつは水平線のない海
4
一粒の波紋が丸くて透明でわたしはあなたになりたいな 夏
3
とうめいになってもべつにいいんだよ血の通わないきみが言うなら
1
最終電車が消滅したおしまいだ鉄の匂いだけが漂っていた
1
君を振るあんな女は忘れろよ焼きそばうまいし空は青いぜ
8
心から 噴水のごとく 吹き出る血 適切な距離を 取ってください
2
歯を立てた 肌が赤らむ 残る痕 気持ち受け止め 涙を拭って
1
そら詠まねば生き易かろう、歌なんぞ, though どうしても息が詰まって
4
ゼロになれ 真っ白になれ 今日の日が新たな君の生年月日
0
濡れた路面 止まれの標示 白く光る まるであたしを 諌めるように
1
胸のうち鉛の虫が這い回る 全てのものを憎みきる夏
1
一人では抱えきれずに育ってくこのかなしみに名前をつけたい
5
君、いつも 卵を割らすと 殻が入る そういうとこが 好きだったよね
3
結局さ、得体は知れていたんだよ。見ないフリが上手かっただけさ。
1
「しにたい」と「だいすき」は1文字同じ きっとどこかでつながっている
1