にじがかかるそらにはあめがふってたんだ fukaseの歌う雨の味
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ガリガリと胸の怒りを削り取り豚肉に混ぜトンカツ揚げた
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人繁げき 新宿西口派出所の 風の寒きに 鳩くびすく
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花は白き 芽のつぶやきを風にのせ何も知らなき心をうつす
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身を削がれ悶え苦しむ薄紅の悲しみを喰む魚の弔ひ
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夢ののち藍いろの闇に吹かれ舞ふ夢屑つなぎあはせ夢見ゆ
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お仕事が決まった!ヒャッホイ!金ほしい!祝い酒!でも働きたくねぇ!
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眠れない犬戯れば迷惑顔方向変えて尻尾を二度ふる
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朝蜘蛛がもくもくもくと働いて幾何学模様不思議アート
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ガリガリと胸の怒りを削り取りベランダで一人雪を見つめる
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夕陽背に 突然君が よーいどん わけもわからず 競争したな
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困ったら 俺のところに 飛んでこい 心の扉 あけておくから
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白い紙 手書きで円を 書いてみた ひとつとだって 同じものなし
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コンビニのイートスペース 昼休み 薄曇うすぐもり 差し出される陽射ひざ
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君がいた夏の緋色の幻をガラスの鉢に浮かべてひとり
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「火」と言へば〈火〉のれし日の山吹にああまたしても時だ移ろふ
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眼の奥に火を灼く火などなきものを見らるるままに火は灼かれたり
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遭難の心持ちする部屋の中 寒いし眠いしお腹も減るし
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友達としてもあなたといられない鼾のような告白でした
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冬のコンビニと通販番組がよく言う「おでんいかがでしょう」
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美味しいな 「北海道釧路のいわし醬油味」 缶詰サイコー
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客人まろうどは メロンソーダのフロートの 数を数えて眠ろうとする
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星空が明るさと暗さ両方を静かに謳う停電の夜
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パリパリと道端の氷踏んでたら学校遅刻だ急げや急げ
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毎朝の電車に馴染みの顔がありお互いの名を知らないでいる
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雪山においてきぼりの幸せがわがままばかりぶつけてしまう
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空気とか読めたらたぶんウィルスなど余計なものを僕はみている
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鳥になる夢を見ていたプラタナス横に枝葉を広げて伸びる
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不貞腐れふてくされむくれた顔よ あなたにはリスみたいに 可愛くうつれ
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首の皺をたっぷと揺らして一歩づつ亀は砂浜を踏みしめ歩く
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