手を洗い令和二年の葉月尽く 木のスプーンにて氷菓も締める
7
さわったら すいかってやつ いきてたの あたしねこだし すいかこわいし
10
乱雑なモノで溢れたこの部屋で私も一緒に無機物になりたい
0
最終便 明日と昨日の境目を西へと駆ける、永遠を見に
3
神のみぞ行き先を知るバスがあり夢をなくした人だけが乗る
2
もし猫になれるのならば ペチュニアを額に当てて全智を得たい
2
淋しさはひとりで癒えぬものだから寄り添っていく君のそばで
1
墜ちた蝶みたいにひろがる彼の腕 夏が逝っても夢はさめない
2
ボロボロの綿のタオルを離さずに でもまさに今羽ばたく小鳥
1
水色の絵の具を空色に塗る時だけが唯一、幸福でした。
2
ねえ博士 あなたはあれを、知ってたの? 知ってはいたが、これ程までとは。
3
おれは五さいなのであのビルの夕日より きれいなものは ほかにしらない
4
君と僕 決定的に 違うとこ 「目の数とかか?」 「そこではないな」
3
身体中 煮詰まる言葉のジャムたちが 吹き出す前に 吐かねばならない
2
肋骨の 奥で鳴る音聞こえてる? これね、私の 時限爆弾
1
傾国の美女と総理の会食は市営プールのパラソルの下
0
山頂の流星群の燃えかすが美しくなく安心してる
2
無理にでも口角を上げてさえいれば「かわいそう」ではなくなるからね
3
いじめては一拍おいてとろかさる徐脈の女満ちて瀬戸際
1
端っこから諦め返していくつもの横断歩道を沼にしてゆく
3
深爪を味がするまで嚙むことの俺は俺から剥がれられずに
6
断ってifがかすめて首を振る あの山だけが僕らを見てた
1
お終いの日にはあなたの宿命となる ファム・ファタル 私は常に私で在った
2
別の日は稀人となるまれびとは異界を知って還りくるもの
2
別の日はグラムロックの申し子となりてグラムメイクで夭折
1
別の日はスパイの情婦いろとなる心許さぬためのホルスター着け
1
別の日は悪魔、焦がれる魂は傑作と化し作家また死す
3
明くる日は金魚となりてギリシアの見事な藤のあわいを泳ぐ
2
本日は遊女となりてイタリアのギャングスターに小指を捧ぐ
1
何になる何になれないひるひなか羽化に失敗した蝉とぼく
3