ユーカリ  フォロー 7 フォロワー 7 投稿数 36

忘れたと惚けているのはあの子なりの優しさゆえに靴がくたくた 

ガラス越し息をひそめてどしゃ降りに閉じ込められる水槽のなか 

山風がはこぶ青草匂い立つきみと歩いた風の通り道 

黄昏に背中を押され手をつなぐこの温もりを何と呼ぼうか 

もう二度と戻れはしない時の海今この瞬間を群れなす魚 

青いキャンバスにひこうき雲が八方に進んで滲む窓枠のなか 

純米酒口に含めばまなうらの朧月夜の味がするかな 

太陽が大好きだから追いかけるように咲くだけ向日葵の道 

白黒をつけたい衝動置き去りに回れよ回れぼくらの時計 

懐かしき人に出会ってあの頃の二人に還る蝉時雨かな 

あいかわらずコーヒーゼリー砕いてもなお持て余すこの伝わらなさ 

降りやまぬあめの雫でしなる森会いたい人に会えない今日も 

日に何度も見かけるあれはヒメジョオン固有種のふりして咲き誇る 

なにもかも忘れていいよかぐわしき甘き香りの梔子くちなしがいう 

かたくなな体を揉んでもらうたびほどけてゆるむ無垢なたましい 

土埃舞うまほろばに寝ころべば青春という夕間暮れかな 

グランドでともに過ごした仲間との涙雨降る最後の試合 

さいはての青と緑の地平線思い出すのは優しさばかり 

辛口の泡がはじける発泡酒。饒舌のままいてもいい夜 

五月雨が洗い流したこの星の澱は彼方へ洗濯日和 

地のはてにひろがる青をおいかけて朝陽ににじむ鳥の羽ばたき 

運命の点と点とがつながって糸になるよう手を離さない 

さえずりも木々のそよぎも眠りこむ魔法にかかる黄昏時は 

やわらかに日毎にひらく切り花の薔薇のいのちを愛でる食卓 

あの町で僕の帰りを待っている人がいるから燃える夕焼け 

陽は白く染めぬいてゆくあたらしい世界知りたい開け放て窓 

その道のカーブ過ぎれば未熟さも思い出になる空のなか 

その雨はめぐりめぐりて降りそそぎめぐりめぐりて命に宿る 

やさしさにふれてあなたのいいところ真似をしたくてたまらない夏 

何時だって傷つくことのない世界なんてないからご飯おかわり